可愛らしいシロバナタンポポを自分の手元で愛でてみたいものだと思いました。しかし、発芽率が数%と非常に低いのです。試行錯誤し、発芽率を5割へと大幅に改善することができました。沢山の方々に可愛らしいシロバナタンポポを楽しんでいただければと思い、その発芽方法の改善を公開いたします。
(下の画像は自宅で開花したシロバナタンポポ)
シロバナタンポポ開花シロバナタンポポ開花

 シロバナタンポポは日本の在来種ですので日本古来の生態系を保存する意味でも意義があると思います。(在来種のタンポポ、日本タンポポの発芽率の向上にも使えます。)
 また、この考え方を応用すれば、「なぜか発芽率が悪い植物」の発芽率を向上させるヒントになると考えます。

Contents

1.ポイント:①弱酸性の土②弱酸性の水を使う

 結論から言いますと、シロバナタンポポを発芽させるには、①弱酸性の土と②弱酸性の水が必要です。この二つがそろい「トータルで弱酸性の環境」にならないと、シロバナタンポポの発芽率は改善されません。特に、水が盲点になりがちです。

 ①弱酸性の土は市販の培養土にあります。②弱酸性の水は雨水を使うか、弱酸性ミネラルウォーターを買います。

 一般論では、発芽の3要素は①水②酸素(過湿ではダメ)③適切な温度(種を蒔く季節)ですが、それは当然クリアしたうえでの発芽率向上のノウハウです。また、シロバナタンポポの場合は、好光性種子なので土中に埋めると発芽率が下がります。
 そして、栽培の教科書などでは「日本の土は酸性土が多い」という前提からスタートしています。確かに、草花を栽培続けてきた畑や庭なら酸性の土でしょう。しかし、我々一般人(農業従事者でない)が触れる土は、大抵は開発の手が入っていて、アルカリ性になっています。

(1)あなたのシロバナタンポポは弱酸性環境ではない?

 都市の土、宅地の土は大抵がアルカリ性です。水道水はアルカリ性です。ご自身で測定して「弱酸性である」と確認してみるまでは、それらはアルカリ性であると考えた方が良い結果につながります。

(ちなみに、発芽法で良く使われるキッチンペーパーは中性が多いです。)

(2)雨水だけで42.9%の発芽率の改善

 キッチンペーパーに種を並べ、水をひたひたにして発芽を待ちます(うまくいかなかった当初は水道水)。しかし、発芽数が非常に少ないです。数個発芽後、辛抱強く次の発芽を待っていました。待つのはいいのですが、その前の発芽挑戦時に沢山の種子がカビてしまったので困っていました。なんとかしなければ……
 水道水では3週間ほど発芽が無かったシロバナタンポポの種ですが、そこへ雨水(弱酸性の水)を満たしただけで、15個が次々に発芽しました。

画像では35個中の15個ですので42.9%の発芽率の改善です。黄色10個が雨水投入の翌日に発芽しました。赤4個が二日後、青1個が三日後の発芽です。

(3)トータルで5割の発芽率へ向上

 これ以前に6個が発芽し、3個がカビたりしていますので、トータルすると44個中21個の発芽です。トータルした発芽率は47.7%、5割です。

 秋に発芽する種子も残っている(春は発芽しない)と考えると、とても良い発芽率(改善率)です。(13.6%から47.7%へと34.1ポイントの改善)
 本記事は春にシロバナタンポポの種をまいたケースです。

(4)納豆菌などに注意新情報new改良

 無農薬で植物を育てる場合、納豆菌は力強い味方です。そこで、納豆菌を増やそうと思い、培養してみました。キッチンのはずれ当たり、つまりシロバナタンポポの発芽トレーと同じ室内です。

 しかし、その結果、室内で発芽させようとしたシロバナタンポポの発芽率が悪くなってしまいました。納豆菌は、ご家庭ですと、つい多数の納豆の空き箱がゴミ箱などに入っている可能性があります。そこにも付着していますのでご注意ください。
 一方、昨年度は発芽前に複数の種子が黴びてしまったのですが、今年は黴びが発生しませんでした!これは納豆菌の良いところです。

 2018年は納豆菌が発芽率に悪影響があることに途中で気付き、屋外で発芽させました。ひさしのある場所で、自然に雨をうけられるようにしたところ、発芽率がグッと上がりました。
 やはり、植物を発芽させる場合はできるだけ菌類の少ない、清潔な土や脱脂綿、キッチンペーパーなどを使うのが良いでしょう。

2.シロバナタンポポとは

(1)日本在来種のタンポポ

 シロバナタンポポ(白花蒲公英、学名: Taraxacum albidum)とは、日本タンポポの一種です。キク科タンポポ属の一種で多年生植物です。
 タンポポは通常は黄色い花ですが、シロバナタンポポは白く愛らしい花を咲かせます。関東以西に分布しています。

(2)発芽率が低い弱点あり:数%の発芽率

A.発芽の定義

 発芽とは「休眠状態にあった芽(成長点)が発育をはじめること」です(「生物学辞典」第3版 岩波書店より)。シロバナタンポポの場合は、種から根がでた状況が発芽です。

(3)花言葉

 シロバナタンポポの花言葉は「私を探して、そして見つめて」です。

3.在来種タンポポが繁殖してきた環境を再現する:弱酸性の土と水を使う

 シロバナタンポポを発芽させるには、①弱酸性の土と②弱酸性の水が必要です。この二つがそろい「トータルで弱酸性の環境」にならないと、シロバナタンポポの発芽率は改善されません。

(1)弱酸性の土:都市、宅地の土はアルカリ性で不可

 現在の宅地などはコンクリート壁に覆われ、または地盤改良工事などをされて、土壌がアルカリ性になっています。

これが、在来種の日本タンポポが少なくなってしまった要因と言われます。

 ですから、庭の土などを気軽に使った場合、その土は弱酸性ではない可能性が非常に高いのです。これでは発芽の為の条件を満たしていません。
(ただし、古き良き地域の土は弱酸性かもしれません。)

 ちなみに、シロバナタンポポの場合は、他の在来種と違って単為生殖が可能なので、受粉のための昆虫が少ない都市でも繁殖できます。

(2)弱酸性の水:水道水はアルカリ性で不可

 ほとんどの水道水はアルカリ性です。これでは発芽の為の条件を満たしていません。

(3)弱酸性の土をどう得るか?培養土を買います

 野菜用の培養土は、大抵が弱酸性です。せっかく買うのですから、必ず「弱酸性かどうか」確認して買いましょう。パッケージの裏面、下の方に書いてあることが多いです。

 書いてなければ、売っているお店に聞きましょう。お店でもわからなければメーカーに確認してくれます。

 種蒔き用の土も、弱酸性の場合が多いですが、こちらも念のため確認しましょう。

 「水でふくらむ土」など特殊なものは相性問題があるのでやめた方が無難です。

(4)弱酸性の水をどう得るか?雨水を使います

 通常、今の日本の雨水は弱酸性です。これが最適です。

A.雨水を集める具体的方法例

 ダイソーのガーデニングマットを使うと簡単に雨水が集められます。ちょっと大きめの段ボール箱に、ガーデニングマットをセットし、中央に重しをおいて風で飛ばないようにします。

(5)弱酸性のミネラルウォーターもあります

A.「谷川山系のおいしい水」テーブルマーク社は弱酸性の水

 しかし、雨が降らない場合もありますし、いきなり雨水を溜めろと言われても困りますね。その場合は、弱酸性のミネラルウォーターを買いましょう。もちろん、軟水が良いです。大抵のミネラルウォーターは弱アルカリ性で硬水です。私が確認した範囲では、「谷川山系のおいしい水」テーブルマーク社のものが弱酸性かつ軟水でした(ph値は加藤が測定実施)。
 私はローソンストア100で買いました。(ローソンにも売っている可能性があります。)

B.新潟県南魚沼郡塩沢村のナチュラルミネラルウォーター

 おそらく、新潟県南魚沼郡塩沢村でとれた水を使ったナチュラルミネラルウォーターは同様に弱酸性と思われます(全ては確認していません)。

(6)家庭用浄水器の弱酸性水生成機能

 家庭用浄水器には、弱酸性水生成機能がついているものがあります。私はそのph値を確認するに至っていません(弱酸性か、強酸性か不明です)。

 浄水機能を使う場合は、ph値は水道水に準じます(たぶん弱アルカリ性です)。

4.シロバナタンポポの具体的発芽方法

 シロバナタンポポを発芽させるには、トータルとして弱酸性の環境にしてあげます。具体的には次の通りです。(加藤の実施した方法です。発芽率5割です。)

①一晩水に漬ける②キッチンペーパーに並べる③乾燥させない④根がでたら土へ植える⑤本葉が育ったら定植。

(1)一昼夜水に漬ける(弱酸性の水)

(2)キッチンペーパーを水に浸し種を並べる(弱酸性の水)

 種が水でひたひたになるくらいにします。完全に水没するのではなく、ほんの少し空気に触れる程度が良いでしょう。

 その上に、キッチンペーパーを一枚のせて、種が常に水に浸るようにします。仮想的に土の中にいるようなイメージです。

新情報new改良発芽方法を改善!キッチンペーパーを2倍に。1枚を左右から折ってさらに縦に折ると6層、上に1層カバー。これでは過湿気味。それを倍の12層にしたら発芽率がより良くなりました!しっとり湿度が土の様で良い感じ。

(3)弱酸性の水をかけ乾燥させない(弱酸性の環境になる)

A.霧吹き

 霧吹きがあれば、それで一日三回ほど弱酸性の水を吹きかけます。霧吹きがなければ、静かに水を注ぐだけで大丈夫です。

B.雨天は外に出し雨水をかける

 強風、暴雨でないならば、雨天には外に出し自然にまかせましょう。

(4)根がでたら種蒔き用の土などに植える(弱酸性の土)

 種から根がでたら(発芽したら)、種蒔き用の土などに植えましょう。もちろん、弱酸性の土でないといけません。育苗ポットのような小さな鉢に弱酸性の土を充填し、発芽した種を移します。

 ほんの少しでも根がでたら、すぐに土に植えた方がよいです。上の事例の写真のように、数日おくと根が伸びすぎて、植え替えるときに(切ったりして)痛めてしまうリスクが増えます。

A.卵パック使用例

 卵パックの蓋を切り離します。そして、下半分の底の部分にハサミで切り込みを入れると、ちょうどスリット状になります。

 パックの蓋の部分に、下の部分をのせます。そうすると、水を受けたり、土が散らばるのを防げます。

 双葉がでたら、底面給水は禁止です。底面給水だと余りにも水分が多く、根が腐ってしまいます。
 双葉がでたら、表面の土が乾いてから水をあげる程度にします。(卵パック式だと、持ち上げて水分がどの程度含まれているか「重さ」で簡単に把握できます。)
シロバナタンポポの双葉を卵パックへ移す

(5)双葉の後に本葉がでて少し大きくなったら本式に植える(弱酸性の土)

(6)発芽しなかった種子は秋に発芽できるよう保存

 春に発芽しなかった種子は秋に発芽できるよう保存しましょう。過乾燥の可能性が低くなる「地面の土」にまくか、鉢にまいて乾燥しすぎないように時々水をあげましょう。

5.一般的注意事項

 どうやって発芽しにくい種子を発芽させるか、一般論まで含めると本が一冊書けてしまいます。そこで、一般的なことを簡潔に以下に記載します。

  • シロバナタンポポの発芽は、春と秋です。春に種をまいても秋まで発芽しないものも混在しています(発芽温度に関係します)。
  • 発芽までに10日前後かかります。地道に水やりして待ちましょう。
  • 種が空気に触れるように配慮します(水にどっぷり漬けっぱなしはいけません)。
  • シロバナタンポポは太陽光に当てないと発芽しません(好光性種子のため)。
  • 何事もやりすぎはいけません(つい水をやり過ぎ根が腐ります)。
  • 発芽促進剤などはテストしていません(相性問題等は管理しきれません)。
  • 植え替える場合は直射日光、強風から守ります(1週間程度)。
  • 幼苗の段階では強い肥料は控えます。

6.どうやって見つけたか?試行錯誤による知識の成長

 私は園芸の初心者です。しかし、なんとかシロバナタンポポを育てたいと思い、インターネットなどでいろいろ発芽方法を集めました。

(1)発芽法のハウツーでは無理だった

 キッチンペーパーを水に浸し種を並べて、シロバナタンポポの発芽状況を慎重に管理していました。ところが、なかなか発芽しません(当時は中アルカリ性の水道水でした)。

(2)適当にまいた種が発芽した!なぜ?

 ふと気がつくと、「まあ、これは余った種だから」とハーブを育てる予定の鉢にまいた種が高い確率で発芽しているのです!
 できるかぎり慎重に丁寧に管理しているシロバナタンポポの種が発芽せず、適当にほったらかした種が発芽しています。「なぜなのか?」謎が謎を呼びます。

 今考えると、この培養土は弱酸性の土でした。土の弱酸性が強いので、水道水でも全体としては弱酸性になっていたのでしょう。また、雨が降れば当然、弱酸性の水が供給されます。

(3)雨が降ると発芽するような気がする

 他の植物の種子をまいてみて、そのうちに「いつも水道水をかけているのに、雨が降ると発芽するような気がする」と思い始めました。そして、「雨の意味とはなんだろうか?」と考えたのです。例えば、雨の意味は次の通りです。

  • 高い湿度(キッチンペーパー方式で、水でひたひたにし常時高い湿度なので、改善内容には該当せず)
  • 湿度の変化するプロセス(可能性は低いと思われる)
  • 雨水の性質
  • その他(まだ明らかになっていない自然現象の影響?未知の事柄は管理不能)

 そして、もしやと思って、土壌のph値をチェックするために買ってあった(廉価な)リトマス試験紙で雨水を測ってみると、弱酸性です。水道水は、中アルカリ性です。

 キッチンペーパーは中性ですので、この方法ならば環境を支配するのは水のph値ではないかと思いついたのです。そこで、雨水を注いだところ、パッと10個が発芽したのです。

7.シロバナタンポポが発芽しない本質は何か?

 このように、試行錯誤をしてみて、ようやく「発芽しないという状況の本質は何か?」に思い至ったのです。そして、その本質を変えないと発芽率は改善されません。

 シロバナタンポポの「発芽しないという状況の本質」は、日本の国土が様々な開発により弱酸性の土壌からアルカリ性の土壌に変わってきたことなのです(それ自体に善悪は関係ありません)。
 昔、弱酸性の土壌が一般的だった頃は、在来種のタンポポは普通の雑草に違いない強い生命力を持っていたのです。

 しかし、今や在来種のタンポポは、環境変化に適応できない植物になってしまいました。植物自身が新しい環境に適応するには大変長い時間が必要ですから、今シロバナタンポポを楽しむのは困難です。
 そこで、今シロバナタンポポを育てるなら、環境の方を、昔の環境に戻してやるのが正解なのです。たとえ、一部分の土壌であっても弱酸性の培養土にし、できるだけ弱酸性の水を使うというようなことが具体的方針になります。
 例えば、庭に植えるならば、一袋14L入りの弱酸性の培養土を買ってきて、その分の庭土を入れ替えます。そうすると、そこだけは仮想的に昭和の土にもどるのです。

8.他の種に応用してみる:なぜか発芽率が悪い植物の発芽率向上のヒント

 たとえば、アルカリ土壌に適するセージというハーブがあります。発芽率が悪いと言われています。私もセージの種をまいてみましたが、なかなか発芽しません。
 実は、種蒔き用の土は、弱酸性の土の場合が多いのです。アルカリ土壌に適するセージを弱酸性の土にまいても、発芽率が悪くなるのは当然ですね。レモンバームもローズマリーも同様ではないでしょうか?どうぞアルカリ性の土に種をまいて、試してみてください(私はシロバナタンポポに忙しくて、まだ試せておりません→セージで弱アルカリ性の土への種まきを試しました!発芽率が向上しました)。水は水道水がアルカリ性ですから簡単です。