シロバナタンポポの育て方|プランター・鉢で工夫改善

 シロバナタンポポは発芽率が悪く、それさえクリアできれば栽培は難しくないのかも知れません。しかし、いろいろ考えすぎたりするとかえって育たないこともあります(過湿対策して過乾燥になる等)。そんな、反省のなかからシロバナタンポポ栽培方法のノウハウを探ります。シロバナタンポポの栽培の難しさは、豊かな里山の自然を再現することの難しさではないでしょうか?園芸植物と同じように育てると上手くいきません。①鉢の中に里山は再現できない、自宅の庭は里山ではない、→②肥料や堆肥、腐葉土を用いて、工夫して再現する→③多からず少なからず肥料のあげ方が難しい。

【ポイント】①鉢植え(入門編):市販培養土に赤玉土を5割混ぜる。②地植え(上級編):赤玉土7割、腐葉土3割、有機肥料少々。

シロバナタンポポ無施肥開花

1.シロバナタンポポの育て方:入門編

(1)シロバナタンポポの育て方

 シロバナタンポポの育て方は(本来野草なので)簡単そうで、難しいです。

その理由は次の通りです。

  • 野草なので園芸植物の育て方だと上手くいかない事も多い(園芸植物並みに肥料をあげるとやり過ぎになる等)
  • ②害虫に好んで食べられる
  • ③多年草なので初年度は弱々しい(簡単に大きく育ちません)
  • ④多少肥料が必要だが塩梅が難しい(発芽時は肥料の無い土が良いが、種に栄養が蓄えられていないので初期生育に多少肥料が必要。しかし、肥料が多いと害虫が沢山やってくる)

 野草なので、株が大きくなれば普通に放任出来ると思いますが、若い苗のうちは多少かばってやる方が良いかなと思ってます(多少の肥料、防虫ネットなど)。

(2)シロバナタンポポは過湿に弱い

 シロバナタンポポは過湿に弱いと言われます。しかし、普通の植物も大抵は過湿に弱く、大差無いです。

 過湿対策は、①水はけの良い土(培養土+赤玉土5割など)②水はけの良いスリットポット、Yポット。③水はけの良い土とポットの相乗効果で過乾燥にならないようにする。以上鉢植え前提です。鉢植えは過湿になりがちですので、対策しました。(下はスリットポット15cmロングタイプの画像)

防虫用にネットを被せる

(3)害虫に狙われます

 シロバナタンポポ が段々育ってくると、害虫に狙われます。周囲に他の植物があるのに、特に噛られます。西洋タンポポは食べると苦いですが、シロバナタンポポはあまり苦くないそうです(もったいないので、シロバナタンポポはまだ食べたことはありません)。害虫に狙われるのは、そのせいでしょうか?キク科は害虫には強いのですが、シロバナタンポポは強くありません。

 冬でも害虫(青虫系の老齢幼虫)が這って来ます。シロバナタンポポは栄養豊富で美味しいのでしょう。青虫(夜盗虫)、団子虫、ナメクジ、カタツムリが強敵です。

(4)地上部の葉が枯れるが根は生存

 また、大きく育つとある日急に地上部の葉が枯れ出します。地上部が全て消失していまうこともあります。ただ、一・二ヶ月位すると、また新しい葉が生えてきます。夏は「夏眠」と言って、地上部の葉が枯れることがあります(環境によって違います)。

 枯れたと勘違いして、廃棄しないようにしましょう。

(5)防風対策

 シロバナタンポポが大きく育ってくると、葉が鉢からはみ出します。そこに、風が吹き付けると、葉が折れ曲がって傷みます。環境によっては、防風対策をした方が良いでしょう。具体的には、防虫ネットで囲うなどです。

 自然の状態では、冬の北風が吹き付ける季節には、シロバナタンポポは平べったくなり(ロゼッタ)、風に対する抵抗力を強めているようです。

(6)霜柱対策

 関東地方では、厳寒期には霜柱が立ちます。小さな苗の場合には、霜柱により、土から浮き上がってしまいます。
対策としては、土に腐葉土や藁などを敷く、防虫ネットで周囲を囲うなどです。

2.市販培養土に赤玉土を5割混ぜる:初級編ノウハウ

 シロバナタンポポは、普通の野草です。普通にしていれば、育ってくれるようです。

(1)育苗用に「Yポット」というポリポット鉢

 サカタのタネの「Yポット」という12cmポリポット鉢が安くて調子が良いです。半年くらい育苗し、別の場所に定植する前提ならこれが良いと思います。
(鉢で大きく育てる場合は、水はけの良い大きめの鉢の方が良いでしょう。シロバナタンポポの葉が大きく広がりますので。)

 下は「Yポット」の画像です。(画像出典:サカタのタネ)底面に穴が3つあるので、通気性、排水性に優れます。底に水が溜まるスペースがあるので、保水性も良いです。
※最近、最寄りのホームセンターでYポットの在庫を置かなくなりました。無ければ、普通のポリポットでも大丈夫です。(育苗時限定で、大きくなったら植えかえるのが前提ですので。)

(2)定植は深めの鉢へ

 上で説明したのは育苗時の小型ポットです。育苗を終えて、定植する場合には、ある程度の深さのある大きな鉢に植えるべきです。理想的には、10号鉢(直径30cm)程度が良いのですが、あまりにも大きいので多少妥協します。

 下の写真は24cmローズ鉢の例です。スリットを自分で加工したり、通気穴を空けたり工夫しました。この過湿対策は、実施したものとしないものの差は解りませんでした。つまり、この程度の大きさの鉢ならば、さほど効果的ではないのでしょう。たぶん、手間をかけてまで実施する必要はないでしょう。(巨大なプランターになると、通気性確保の対策は大切ですが、この程度の鉢なら無問題でしょう。)

(3)育苗時:市販培養土に赤玉土5割混ぜる

 市販培養土(365日持つ肥料入りだという中級品)に赤玉土5割加えると良い結果につながりました。肥料は培養土に入ってる程度で十分そうです(多すぎるくらいでしょう)。

 シロバナタンポポの種は、それほど栄養を蓄えられる形態ではありません。空を飛ぶために、小さくて細いです。ですから、発芽した後や若い株には肥料は多少必要だと思います(培養土に入ってる分くらい←赤玉土で薄まるので肥料分は少なめになる)。

(4)定植時:腐葉土やバーク堆肥なども入れる

 また、定植する場合は、腐葉土やバーク堆肥などを入れたいですね。市販培養土4割、赤玉土3割、腐葉土やバーク堆肥3割程度が良いでしょう。(ちなみに、牛糞堆肥はお勧めしません。後述。)

(5)肥料が多いと上手く育たない

 多肥は絶対ダメです、害虫が来ます。(例えば、西洋タンポポは害虫に強いですが、周囲の草木などに施肥した肥料分が伝わって吸収されると、害虫に食べられるようになってしまいます。)園芸植物のように育てると、結果的に多肥になり、上手くいきません。また、多肥だと、うどんこ病などになりやすいです。

 下の写真は、時間が無くて市販培養土を少量いれて育苗したケースです。花が異常に沢山咲きましたが、土が少なく乾燥しすぎて困りました。そこで、新たに土を増やしたのです(培養土5割、赤玉土5割と肥料分少なめ意図)。ところが、根が育っていたためか、その土の肥料分を急激に吸いこんで多肥傾向になってしまいました。そして、うどんこ病や害虫(青虫やアブラムシ)におそわれました。青虫は、普通はもっと美味しいハーブなどに真っ先にたかります。写真では、茎の赤丸の部分にアブラムシが20匹程度かたまっています。(隣で育てていたミニトマトは多肥を避けたので、アブラムシはつきませんでしたので好対照です。)葉が少なくなっているのは、主に青虫にかじられたせいです。

(6)半年で花が咲きますが……

 市販培養土に、3割程度の赤玉土を入れる栽培方法の場合は、半年で花が咲きました。(私の場合は、蕾が出来すぎて摘蕾していました。そこで、赤玉土を5割に増やしました。)その一方で、肥料分を入れずに、腐葉土など土作りを優先する(肥料は入れない)環境だと、直ぐに花が咲くということはありません。

 市販培養土には、花も野菜も満足させる肥料が入っています。しかし、通常その配合は園芸植物を前提としています(野草には肥料が多過ぎる)。また、里山の環境に比べれば、促成栽培に近いです。(ここらへんが、在来種タンポポは「普通にやってりゃ、育てるのは簡単だよ」「いや、それが難しいんだ」という議論がわかれる所以でしょうか?)

 市販培養土では、短期型化成肥料から中期型化成肥料に切り替わるタイミングで、葉っぱが紫になってしまうリスクもあります(枯れることはありません)。その一方で、自分の家でシロバナタンポポが花開く楽しさもあります。様々な楽しみを試行錯誤していかれたら良いと思います。そうやって、自然と向き合うのが楽しいのではないでしょうか?

3.自然栽培でシロバナタンポポを育てる:上級編ノウハウ

 シロバナタンポポは野草なので、自然栽培を志向してます。自然栽培とは、無農薬、肥料を極力使わない栽培方法の意味で使っています。(肥料をできるだけ減らした「有機農法」の同義語に近いです。)

 シロバナタンポポは多年生植物ですので、ゆっくり育ちます(自然の野原では、発芽して半年程で直ぐに花が咲く植物ではないでしょう)。肥料を少なくして、ゆっくり丈夫に育てる方法が、結局は「害虫にも強くなる」ため手間がかからずに、トータルとして見ると最適な方法ではないでしょうか?(「アリが害虫を駆除し植物を守った!生態系の尊さを実体験 」の記事に書いたとおり、肥料を入れた土で育てた時には相当苦しみましたので。)

 里山の豊かな自然を鉢の中に再現するのは難しいです。里山の豊かな自然には、植物の残滓が積み重なって自然の腐葉土になっていたりして、自然な栄養分が含まれています。したがって、その再現が難しい以上、多少の肥料が必要です。肥料の分量ですが、通常の草花に与える肥料の1/4(25%)程度と考えます(←少なめに想定した方が害虫に襲われるリスクが少ないです)。

 下の写真は、肥料分の全くない「種まきの土」に発芽したばかりの種子を植えたケースです。これ以上育ちませんでした。(この時は、「過湿で枯れたのかな?」と思っていましたが、栄養分が足りなかったようです。)

肥料分の無い土では育たないシロバナタンポポ

 シロバナタンポポは直根ですので、その直根の近い位置に肥料を置かないと吸収されません。(横に広がる根の植物は、葉っぱが広がっている範囲の直ぐ外くらいに肥料を置きます。しかし、シロバナタンポポは違います。)

(1)自然栽培のオリジナルブレンド土

 失敗を糧にして、推奨されるブレンド土。根腐れ対策重視:ゼオライト+真珠岩パーライトで通気性高めます。(地植えの場合は、パーライト、ゼオライトは省略も可能です。鉢植えの場合は、できれば入れましょう。)肥料も多少必要です。

  • 赤玉土(小)3(単位:割、以下同じ)
  • 赤玉土(中)1
  • 鹿沼土1.5
  • パーライト1
  • ゼオライト0.5
  • バーク堆肥(もしくは腐葉土)3
  • 有機肥料少々(発酵油粕など。これは窒素分が少ない配合なのでお勧めです)

(2)失敗したブレンド土の配合

 シロバナタンポポ用の土を独自ブレンドして準備。 2018年はミニトマトの育苗で腐葉土を4割入れたら入れ過ぎで育苗失敗(多分、窒素飢餓か発酵ガスが発生した為と予想)。その反動で、シロバナタンポポには腐葉土15%でブレンド。これは少なすぎたようです(多少肥料を入れるべきでした)。

  • 赤玉土(小)3(単位:割、以下同じ)
  • 赤玉土(中)2
  • 鹿沼土1.5
  • パーライト1.5
  • ゼオライト0.5
  • バーク堆肥(もしくは腐葉土)1.5

(3)肥料を与えていないシロバナタンポポ

 シロバナタンポポは野草なので、最初に育てた年は自然栽培を志向していました。それゆえ、このミニ花壇にはほとんど肥料を与えていません。土作り目的の腐葉土やバーク堆肥程度です。腐葉土を3割程度入れました。他に、パーライト、ゼオライト、ピートモス、鹿沼土(弱酸性へ酸度調整)も入れ土壌改良しました。(害虫を寄せつけないように草木灰をまいたことはありますが、草木灰にはチッソは含まれていません。主に害虫を呼ぶのはチッソ過多です。)

■2017年10月:土作り

 下の写真は2017年の秋に発芽した苗です。(秋に発芽したので非常に小さい状態で地面に移しました。うまく成長してくれるか不安でした。)防虫シートで覆うなど工夫して越冬は無事出来たものの、肥料(栄養分)が極少ないので、あまり成長しませんでした。(←ほんの少し肥料をあげてもよかったかもしれません。)

■2017年11月初旬にミニ花壇へ定植
シロバナタンポポ定植

 肥料をあげずに育てたせいか、2018年の春には、花は咲きませんでした。2018年の初冬には下の写真の通り、防除しないでも害虫に食べられず生き残っています(2018年5月頃には地上部を害虫に噛られ?消失していた様子でした。その株が2018年の秋に再生したようです)。
同時期に、鉢に植えたシロバナタンポポは肥料を多少あげたせいか、害虫に噛られてしまいました(液体肥料を月に2回程度、思い出したときにあげていました)。それでも、このミニ花壇は無施肥ですので、無事でした。左下のシロバナタンポポは、下にモグラが潜ってしまったらしく浮き上がってしまったことがあり、それもあって生育がよくありません。

■2018年12月初旬

 上の写真において、シロバナタンポポの周囲の茶色いものは雑草ではなく、「エンバク」を緑肥的に植えたものが枯れた状態です。つまり、今は麦わら状態です。エンバクは益虫が休む場所になります。また、枯れて倒れれば土壌の乾燥を防ぎ、やがては養分になります。

 緑の葉は、ニラかニンニクか?防虫用の コンパニオンプランツ。ニンニクは防虫用なら100円ショップのニンニクを植えます。廉価なので気軽に沢山植えられます。

■2019年4月開花:開花まで2年かかりました
シロバナタンポポ無施肥開花シロバナタンポポ無施肥開花

 ほとんど肥料をあげていないので、花が咲くまで2年かかりました。しかし、丈夫に健康に育っているようです。化成肥料入りの土で育てたシロバナタンポポの様に「葉っぱが紫色に変色」したりしていません。

4.ミニトマトの発芽実験:参考にならなかったけれど良い経験

 ミニトマトの発芽実験。用土で初期生育が相当違います。ステラミニトマト(固定種)を室内で種から育苗。ミニトマトは特殊で、過湿に弱く、肥料に敏感です(徒長しがちです)。自然栽培を志向したので、腐葉土を入れ、肥料は入れていません。

④が一番育っています:種まきの土8、腐葉土2。この④は大きな苗になり、実も実りました

①赤玉土小4中2、腐葉土4。②種まきの土6、腐葉土4。③腐葉土10。(こちらは全て苗になりませんでした。小さい本葉がでた程度で生育が止まりました。)③腐葉土10については、実験的な種まきです。栄養分が使える状態にまで「完熟」した腐葉土を使う場合は、腐葉土100%でも良いミニトマトの苗ができるそうです。そのような超完熟腐葉土は市販されていません。(超完熟腐葉土は、無施肥栽培されているプロ農家さんが自作されています。)

(1)牛糞堆肥は使わない

 腐葉土にするか、他の堆肥にするか悩んだのですが、腐葉土の他はバーク堆肥もしくは、おが屑堆肥(獣糞が入っていない植物性堆肥)にした方が良いでしょう。牛糞堆肥は理想的に思えましたが、海外で使用された農薬成分(クロピラリド)により、生育障害を起こす可能性があるため使わない方が良いでしょう。私も2018年にミニトマト等に使ったところ、葉っぱがクルクルと巻いてだめになりました。(鶏糞は堆肥というより、肥料ですので除外します。私は使いません。)

農水省のHPのトマト栽培の手引きより
「輸入粗飼料を給与した家畜排泄物に由来する堆肥では、海外で使用された農薬成分(クロピラリド)により、生育障害を起こす可能性があるため、製造業者に確認し、履歴のしっかりした堆肥を購入すること。また、過剰に施用することのないよう、堆肥の施用量や施用方法を適正に守ること。」

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