カタールW杯本番へ向けて、サッカー日本代表の対戦相手は最終予選よりフィジカルが強く試合の強度が非常に高くなります。そこで、素人なりに戦略とメンバー案を考えて応援します。経営管理の知識(SWOT分析)とアメフトの戦術を取り入れ、新しいアイデアを提案します。

ポイント

 「選手枠の増加(26名、5人交代可能)」という変化と強みをかけ合わせます。日本の強みである「複数のスピードスターとデュエルマスターを適切に選手交代しながら活用し、一試合を通して高いプレス力・ボール奪取力を発揮しようという戦略です。

 これは、今までの日本代表の「良い守備からの攻撃」という方向性とも合っています。

 CLなどを見ていると、格上の強豪に対して引いて守るだけでは勝てない事がわかります。また、「勝つつもり」で戦わないと引き分けもできません。

1.SWOT分析(クロスSWOT分析の実施)

 まず、対戦国が具体的に決まったことでお互いの強み弱みを比較して、相対的に優位に立てる選手選考が必要になります。さらに、新型コロナウイルス感染症の蔓延に配慮した選手枠の増加(26名、5人交代可能)により、新たなアイデアが生まれてきます。

 こうした変化に対応するため、SWOT分析の枠組みを用いて戦略を考えます。その新しい戦略に基づき、選手案を考えます。

(1)サッカー日本代表SWOT分析:能力分析・環境分析

内部環境 強み(Strength)
〇選手層が厚く、スピードのある選手やボール奪取力のある選手が複数いる。
〇組織的に戦える(チーム力が高い、強い個のある選手たちがチームプレーできる)。

弱み(Weakness)
●得点力が弱い(決定力が低い)。
●セットプレーから得点できない。
●GKのポジションに弱み。

外部環境 機会(Opportunity)
〇選手枠の増加(26名、5人交代可能)。
〇優勝候補と対戦(ドイツ、スペインはW杯での対決を夢見るような存在)。

脅威(Threat)
●優勝候補と対戦(ドイツ、スペインが非常に強いのは間違いない)。
●コロナ禍で本戦までの準備期間が短くなった。
●主力選手にケガが続いている(東京五輪以降の疲労が蓄積など)。
●潜在能力の高い選手でも、ビッククラブで試合出場機会を失い能力が低下している。

(2)サッカー日本代表クロスSWOT分析:戦略の方向性

 強み弱み
機会〇選手枠の増加(26名、5人交代可能)→
 複数のスピードスターを活用できる(一試合を通して高いプレス力・ボール奪取力の発揮)
〇優勝候補と対戦(ドイツ、スペイン)→
 精神的優位に立てる(挑戦者に徹する覚悟、チームへの献身性)。
 弱みを克服する創意工夫こそ「戦略」である。日本はマネジメントなど戦略立案能力(考える力)に強みがある(企業が発展している)。
●例えば、GKはゴールを守る力を最優先して選手選考し、ビルドアップ等はCBに分担してもらうなど、思い切った策を打つ。
脅威●優勝候補と対戦(ドイツ・スペイン)→
 一概にマイナスではない。ファンも素晴らしい試合が見たい(塩試合でベスト16に上がっても感動できない)。
●ドイツ・スペインに比べ決定力が低い→
 強豪国であっても天才ストライカーは不在で、決定力は不足している為、絶対的な弱みではない(ドイツ・スペインであっても、パス等は上手くてもゴールはなかなか決められない)。
 戦術で対応可能。

2.アメフトの戦術を応用

 NFLのチャンピオンチームであるラムズは、守備ラインを2セット準備して交代しながら戦いました。狙いは選手を疲れさせず、強みである守備ラインの力を常に発揮する事です。(ケガも減ります。)これを参考にしました。通常ですと、万遍なく選手層を厚くしたいところですが、このような戦い方もあります。(NFLではチームの選手給与総額を一定以下に抑えることで、リーグ内戦力の均衡化を図っています。サッカーに比べて「(高給になる)ベストプレーヤーを複数そろえる」事は非常に困難です。)

 私の好きなPittsburgh Steelersでは、かつてリビオン・ベルというランニングバックが活躍していました。走れるだけでなくパスキャッチも上手かったので、オフェンスではほぼ出ずっぱりでした。「これでは怪我してしまうのではないか?」とファンとして心配していましたが、案の定負傷してしまいました。ヘジテイトムーブと呼ばれる彼独特の走り方が感動的でしたので、非常に残念です。(ヘジテイトムーブ:オフェンスラインの後ろで穴が空くまで立ち止まって待って、ちょっと空いたら100%へ加速し走り抜ける走法。一瞬重力が無くなる感じがする。)

 最近は、高額なベストランニングバック一人に何もかも担わせるのではなく、水準レベルの複数の選手を交代で使い常に爆発力のあるラン攻撃を展開する戦術も増えてきました。

 野球の佐々木朗希投手の場合は、ベルと異なり大変大切にされています。甲子園の予選で大事をとって出場しなかったり、先日の2回目の完全試合のチャンスを途中降板するなどです。私自身、大学時代に運動部で活動していた時にケガをし大変苦しみました。どうか選手を大切にしてあげてください。

3.選手案

 選手の交代枠を戦略的に使うことで常時プレス・ボール奪取を実現する(選手も消耗させない)。そのためにスピードスターとデュエルマスターを複数セット準備し適時交代する。左の分数は交代目安。勝つ気でいかないと引き分けもできない相手なので、過去の実績より可能性をとる。これまでのアジア相手と違って、フィジカル、闘志(プレス&ボール奪取)重視。カッコ内の選手は控えの意味。

26名交代枠5として選定。       2022.04.21 Ver.1.1

日本の強み:複数のスピードスター、挑戦者意識、チーム力、献身性                                   

FW:CB、GKに対し組織的ハイプレス(常にスピードで脅威を与える)                                      

                前半   CF鈴木優磨                 
                後半   CF古橋亨梧                 

1-60分 FW前田大然                  前半FW浅野拓磨     
60-90分FW三笘薫                  後半FW伊東純也     
                                         (上田綺世)   

MF:ボールを奪い取り、攻撃参加できる高運動量                                       

       1-70分 MF遠藤航      1-60分 MF原口元気          
       70-90分MF田中碧     60-90分MF鎌田大地         
                                    (久保建英)         

                     MF守田英正                 
                      (山口蛍)     

DF:守備ラインを下げ過ぎず守る                                

 SB伊藤洋輝    CB吉田麻也           CB冨安健洋    SB酒井宏樹
  (中山雄太)     (谷口彰悟)            (板倉滉)      (山根視来)
  (安西幸輝)                        

                     GK谷晃生          
                      (権田修一)            
                      (シュミット・ダニエル)            

4.個人的なお勧め選手

(1)MF原口元気:ボール奪取と攻撃参加、攻守に戦えるMF(ブンデス一部)

 速くて強い「強い個の力」を持ちながら「優れたチームプレー」ができるマルチプレーヤー(MF/FW/DF)

 現在はブンデス一部でMFのレギュラーとして絶好調。日本代表では遠藤航と並べば鉄壁の攻撃的守備が可能と期待される。(前回W杯の最終予選ではFWとして4試合連続得点。本戦の対ベルギー戦では貴重な先制ゴールを決める。)

 原口選手は、すでに日本代表で活躍されていますので、言葉より動画で現在の活躍ぶりをご紹介します。

ダイビングヘッドでゴール(先制点)
Hertha Berlin – Union Berlin 1-4 | Highlights | Matchday 29 – Bundesliga 2021/22

疾風の様に現れPA内でプレス→アシスト(バルセロナを破ったフランクフルトを撃破)
Union Berlin – Eintracht Frankfurt 2-0 | Highlights | Matchday 30 – Bundesliga 2021/2
画像の出典:Bundesliga(https://www.youtube.com/channel/UC6UL29enLNe4mqwTfAyeNuw)

(2)CF鈴木優磨:優れたチームプレーができる万能型FW(鹿島)

 外見態度は荒っぽいですが、「強い個の力」を持ちながら「優れたチームプレー」ができる万能型FW!決定力が高く自らゴールをあげるだけでなく、ポストプレーから味方を活かしアシスト等。攻撃だけでなく味方がピンチになれば猛スピードで戻り対応するなど献身性も備える万能型。身長も182cmあり、ポストプレーやヘディングも上手い。今、Jリーグで一番生きが良いFWです。

ショーン・キャロ氏による評価
“最前線には、まず鈴木を入れないわけにはいかない。彼の荒々しさは90分間を通して確実に相手CBを悩ませ続けることだろう。だが単にピリピリしただけの選手だと思ってしまうのは大きな間違いだ。頭の良さと技術と決定力を備えたセンターフォワードである彼は、まさにこのチームのトップを張るのにふさわしい。“出典:「Jリーグ組だけでサッカー日本代表を組んだら…。19歳から37歳までが融合した23人のメンバーとは!?【英国人の視点】」、フットボールチャンネル。
https://www.footballchannel.jp/2022/04/27/post460939/5/

■チームプレーの例:獲得したPKを後輩に譲り成長を支援
“[4.23 ルヴァン杯グループA第5節 鹿島 3-0 大分 カシマ](中略)FW鈴木優磨は、自身のゴールだけでなく、若手選手をサポートする働きも光っていた。J2から参戦の大分トリニータからなかなかゴールを奪えず、0-0で迎えた前半45分。鈴木はペナルティエリア内で倒されてPKを獲得するも、この重要なキッカーをMF荒木遼太郎に譲った。“出典:ゲキサカ。
https://web.gekisaka.jp/news/detail/?357243-357243-fl

5.何故か代表に呼ばれない鈴木優磨:銚子市の若者気質による誤解があるのか?

 私も鈴木選手と同じ銚子生まれです。そこで、銚子生まれしか語りえないことをお伝えして、サッカー日本代表がドイツ・スペインに勝てるよう応援します。

(1)銚子生まれは言葉が荒い

 私(加藤)も鈴木優磨選手と同じ銚子生まれです。実は、銚子生まれは「言葉が荒い、態度も荒いが、本人は普通なつもり(悪気は全く無い)」の場合が多いです。

 私も大学時代に某運動部で活動していた時に、出身地の違う仲間から「お前はなぜそんなに横柄なんだ!」と怒られたことがあります。私は練習仲間に「気取らず気さくに話す」つもりで、時々故郷の素朴なしゃべり方をしていたのです。

 例えば、様々な地方で「だっぺ」という方言が使われます(「~でしょ、だろう。」の意味で、素朴な語感です)。しかし、銚子では「だべ」(べを強く発音する)と強い口調で使うことが多いです。たまに銚子へ帰省すると、懐かしい方言が「ビックリするほど荒く聞こえる」事があります。

(2)銚子出身者は言葉や表面的な態度で誤解されやすい

 また、社会人になりたての頃、人事部の方に「君は銚子出身なのか?あそこは言葉が荒いんだよね。私の義父も銚子なんだけど電話で話したりすると『喧嘩を売られているのじゃないか?』と勘違いする事もあるんだよ」と言われたことがあります。

 銚子市は漁業が盛んですので、活力に溢れていると言うか「ナヨナヨした態度やゴマすりは恥ずべきことである」という価値観を持つ人々が多いです。これは浜の方だけじゃなくて街でも同じです。昔、野球の甲子園大会の応援で大きな「大漁旗」を振り回す銚子商業高校の応援団を思い出す方もいるかもしれません(今は、欧州のサッカーで大きな旗を振り回していますね)。

(3)発揮されたチームプレーを評価すべき

 鈴木優磨選手は「強い個の力」を持ちながら「優れたチームプレー」ができる優れた選手です。実際に試合の中で発揮されたチームプレーという事実こそを高く評価すべきです。

 それなのに、「きつく感じる口調や荒い態度」という表面的な事柄で「チームの和を乱すリスクが高い」と勘違いしているとしたら残念です。モッタイナイです。ドイツ・スペインという優勝候補と戦う上で、こうした勘違いが無くなるとよいと切実に感じます。

 発揮された事実(成果)を評価するというのが経営管理(人事評価)の大原則です。そして、評価の基準は「達成すべき戦略目標」です。今回の場合は、カタールワールドカップベスト8進出です(相当高い目標基準です)。皮相的な印象や評価者の好みを基準にして評価をするなどは「評価エラー」として禁止されています。

(4)「和して同ぜず」と「強い個によるチームプレー」は同義

 「和して同ぜず」と「強い個によるチームプレー」は同義です。単純に「組織の雰囲気が悪くならないように、仲良くする」(仲良しクラブ)という状態とは全く違います。最近では、「インクルージョン」等といったカタカナ語で語られることもほぼ同じです。多様な個性を持った強いプレーヤー達が集まり、お互いにチームプレーを実践するときに最大の成果が得られます。つまり勝利を得るには多様な個性のプレーヤーが必要なのです。

6.参考情報:SWOT分析とは何か?

資料出典:「マンガで分かる、SWOT分析」経済産業省、中小企業庁。

(1)SWOTで現状を分析

 SWOT(スウォット)分析とは、「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」の頭文字SWOTから名付けられた、事業分析のツールです。

 SWOT分析では、自社の事業の状況を、内部環境(自社がもつ資産やブランド力、品質など)のプラス要因の「強み」とマイナス要因の「弱み」と、外部環境(自社を取り巻く、市場や競合、法律など)のプラス要因の「機会」とマイナス要因の「脅威」に分けて整理します。

(2)クロスSWOT分析で戦略の方向性を定める

 SWOT分析で強み・弱み・機会・脅威が整理できたら、「クロスSWOT分析」で戦略の方向について考えていきます。

 クロスSWOT分析では、内部環境と外部環境を組み合わせて、「強み×機会(積極化)」、「強み×脅威(差別化)」、「弱み×機会(改善)」、「弱み×脅威(防衛・撤退)」という4つのパターンで、戦略を明確にします。

● 強み×機会(積極化戦略)

 自社の「強み」を活かして、「機会(ビジネスチャンス)」に対して、どんな行動や施策をとれば良いのかを検討します。

 経営資源に乏しい小規模企業にとって、全方位的な戦略をとることは、なかなか難しいのが実情です。クロスSWOT分析では、「強み×機会」に注目して、「有望なビジネスチャンスに対して良いところを活かしていく戦略」を考えることが一番大切です。戦略策定は、「積極化戦略(強み×機会)」を最優先に考えていきましょう。

● 強み×脅威(差別化戦略)

 競合や市場縮小などの「脅威」に対して、自社の「強み」を使って、どうやって切り抜けていくかを考える戦略です。競合他社に対する差別化などが戦略の中心になります。

● 弱み×機会(改善戦略)

 ビジネスチャンス(機会)を活かすために、弱みを補強したり、改善したりする戦略です。弱み・ウィークポイントを克服するのには時間がかかることが多いので、少しずつ段階的に進める必要があります。

● 弱み×脅威(防衛・撤退)

 「脅威」の影響を最小限にとどめるための防衛的な戦略となります。最終的には、事業の撤退も視野に入れる必要があります。

7.参考情報:ダイバーシティ・インクルージョン

資料出典:一般社団法人日本経済団体連合会「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」(平成29年5月16日)(抜粋)

 「ダイバーシティ・インクルージョン」についての基本的考え方 「ダイバーシティ・インクルージョン」とは、多様性を受け入れ企業の活力とする考え方である。企業の組織活性化、イノベーションの促進、競争力の向上に向けて、まずは女性、若者や高齢者、LGBT、外国人、障がい者等、あらゆる人材を組織に迎え入れる「ダイバーシティ」が求められる。

 その上で、あらゆる人材がその能力を最大限発揮でき、やりがいを感じられるようにする包摂、「インクルージョン」が求められる。

 ダイバーシティとインクルージョンの双方があいまって、企業活動の活力向上を図ることができる。また、ダイバーシティ・インクルージョンの実現は、全ての従業員が自己実現に向けて精力的に働くことのできる環境を生み、従業員一人ひとりのQOLの向上にもつながっていく。

8.まとめ

 自分たちより強い相手と戦うには、知恵が必要です。そのために経営管理の知識を応用してみました。

 「選手枠の増加(26名、5人交代可能)」という外部環境変化と日本代表の強みをかけ合わせます。日本の強みである「複数のスピードスター」を活用し、一試合を通して高いプレス力・ボール奪取力を発揮しようという戦略です。

 サッカー日本代表がカタールW杯で活躍されることを祈っています。「準備する時間が足りないから、予選と同じでいいんじゃないか?」等と思考停止に陥らない事が重要です。