派手でも有名でもないけれど、真面目に車作りを続け、イノベーションを連発してきた希有な会社、それがスバルです。相矛盾する条件をどれだけ高いレベルで満たすことが出来るか、それが挑戦であり、イノベーションが必要な理由です。小型ファミリーカーは小さなサイズに良い性能、良い居住性をもたせ、しかも廉価に実現する必要があります。それゆえ小型車の開発は非常に難しく、成功した小型車は宝石のような存在で、その背景にはエンジニアの良心が宿っています。スバル1000は、まさに宝石のような奇跡の車です。
 このスバル1000の先進性、イノベーションはこのホームページで大きく取り上げているAppleやトヨタ・プリウスの事例に匹敵するものです。私は、このイノベーションが①「お客さまに最善を提案する」真の顧客志向マインド「和して同ぜず」の知識創造の方法論から生まれたことを体験的に知ることが出来ました。実際に乗ってみて、また開発した技術者の皆様と交流してみての実感です。

1. 富士重工業が開発・達成したイノベーション

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  • 360ccの4人乗り超小型乗用車(本格的軽自動車):スバル360(1958年)。「てんとう虫」と呼ばれ沢山の人々に愛されました。私も実際に買って乗りましたが、小さいながら本物の乗用車でした。
  • 世界の自動車会社に真似されたハイテクFF車スバル1000(1966年)欧州の名門アルファロメオ・アルファスッドがスバル1000を参考にしたほどの先進性がありました。(私はスバル1100、スバル1300Gスポーツに乗っていました。)

  • 世界初の四輪駆動乗用車:スバル1300バン(1971年)後にレオーネ4WDが商品化されました。(現在はレガシィツーリングワゴン等人気車種)
  • 廉価な安全運転システム:アイサイト(+車の基本、車体の骨格自体が強い受動安全性。4WDの動的安全性も加えると極めて優れた安全性を備える。)

 四輪駆動乗用車(レガシィ、インプレッサ等)は富士重工業の主力商品で同社の屋台骨を支えています。

 例えば、VWが大変な状況にある今になって振り返ると、妥協のないスバル360/1000時代の技術開発(真の顧客志向の実践)が、短期的に見るとコストダウンとは反する方向であったかもしれませんが、結局は富士重工業の発展の礎になった(中長期的業績が高まった)ことを思い、大変感銘を受けています。
写真の出典 FUJI HEAVY INDUSTRIES Ltd.、subaru-philosophy.jp

2. スバル1000の素晴らしさ

(1)スバル1100・1300Gの素晴らしい運転体験

 私はスバル1100とスバル1300Gスポーツセダンに乗っていましたが、高性能で運転が楽しく、しかもスマートな外観で室内も広いこの車を愛好していました。軽くシャープで確実なステアリングを握り、カチリと決まるギアシフトを駆使して日本中を旅して回ったものです。サーキットを走っても申し分ない高性能でした。
 理屈抜きで(運転経験から見て)凄い車で、今でもこのスバル1000を超えるファミリーカーはありません。

 エアコンが無い、ATが無い、ハイブリッドではないなどは車の本質とは別です。現在の技術でそれらを付け足せば良いだけです。車体も670kgと軽すぎますが、現在の優れた高張力鋼板を使えば軽さと剛性を両立可能です。

(2)スバル1000の技術的な素晴らしさ

 技術的側面はSubaru Philosophyというホームページに詳述されています。今振り返っても、一つひとつが素晴らしい技術であり、なおかつ総合されたときに最高の性能を発揮するように考えられて設計されました。

3. 対話型チームワークが得意(自分と違う意見を活用できる組織)

 元々、富士重工業は中島飛行機の時代から自由に議論する社風を持っていました。飛行機作りで世界との競争を繰り広げる為には、まさに衆知を結集する必要があったのでしょう。

“1963年、横田信夫社長(元日本電信電話公社副総裁)は、「一、顧客のためになるかどうか。一、会社の発展に役立つかどうか。一、従業員の生活向上に役立つかどうか。」という「三つの尺度」を示し、「和して同ぜず」の言葉を掲げ、「伝統に固執することなく、良い面を十分に生かしながら新生面を開き、みんなが力をあわせて体質を改善していかなければならない。孔子の言葉に『君子は和して同ぜず』というのがある。君子は人と協調するという寛容さを持っているが、だからといって自分の気持を曲げてまで、むやみに人と妥協することをしない。必ず議論を通じて最善の結論を求め、それに沿い実行することが肝要である。」と社内に向けて語りました。”(資料出所:「スバルを生んだ技術者たち〜富士重工技術人間史〜」富士重工技術人間史編集委員会、1994、富士重工業株式会社発行。)

 大変失礼な言い方ですが、VW等と比較すれば富士重工業は自動車メーカーとしては小規模です。それでも今まで何度か経営危機を乗り越えて、国際競争を生き延び、好調な収益を上げています。「山椒は小粒でピリリと辛い」ユニークで優れた企業として活躍しています。

 小規模な富士重工業が生き残れた秘訣は、真の顧客志向を実践し、そのための方法論である対話型チームワークが得意であったからです。

 換言すれば、他の業界でも、対話型チームワークによって真の顧客志向を実践できれば、失われた20年間を乗り越えることができるのではないでしょうか?

4. 富士重工の素晴らしい人材(チーム

(1)優れた個が和して同ぜずでチーム力発揮

 百瀬様、小口様などは私どものような「スバルff-1クラブ」という弱小クラブのためにも、いつもわざわざ御準備をされて講演をしてくださいました。さらにff-1クラブをスバル プレアデスモーターテクノロジーサロンセミナーへお誘いいただき、沢山の技術者の皆様と貴重な交流の機会を得ました。
 スバルの理想主義に過ぎる高度な設計を現実の商品として生み出すことが出来たのは、大勢の優秀で誠実な技術者の皆様がいらっしゃったお陰であると考えます。このことはスバル車のミーティングへの参加という狭い経験の中ですが、実感することが出来ました。百瀬様は勿論個人としても素晴らしい方ですが、我々が賛えてやまないのは百瀬様をシンボルとした、富士重工の素晴らしい技術陣の皆様(エンジニア・チーム)でもあると拝察いたします。
 スバル360/1000さらには四輪駆動乗用車が日本の富士重工業から産まれたのは、まさに日本自動車工業界の誇りとするところです。

(2)平和への希求と人間の良心・誇りが本質的な「働きがい」になった

 そして、これは奇跡に近い偶然から産まれたのではなく、平和への希求人間の良心・誇りから産まれた必然であったのだと思います。
 この平和への希求と人間の良心・誇りが、Appleやトヨタ・プリウスの事例で分析した『本質的な「働きがい」を生む①社会貢献マインド②次世代貢献マインド
』に相当する本質的な「働きがい」であったのだと考えます。
(敗戦直後・復興期には、
灰燼に帰した産業を復興することが社会貢献そのものであり、また日本国の未来を切り開く次世代貢献そのものでした。)

5. SUBARU1000 30周年ミーティング

 1996年11月 富士重工業の太田工場でSUBARUff-1CULB主催のSUBARU1000 30周年ミーティングに参加してきました。(と言ってもうちのクラブ以外にはラビットが3台でしたが(^_^;) 昔、誉エンジンを作っていた中島飛行機OBに先導してもらって、太田工場を皮切りにスバル360や1000の設計主査であった百瀬晋六さんのお宅を訪問しご挨拶。
 その後、1000の足回りを設計された小口さんや室田さん、大林さんなどの講演を聴きさらに、360や1000の耐久テストロードを偲んで赤城山のツーリングをしました。これがかの有名な「峠で叫んだ万歳」という小説の舞台なのだと感激しました。これは「大いなる決断」(柳田 邦男、1978年、講談社)という本の中にある小説です。

 Macintoshがパソコンの王道ならスバルは日本のファミリーカーのMacintoshですね。いまでもスバル1000を越えるファミリーカーは無いでしょう。1000や360を見ていると、プロジェクトリーダーの見識や美意識がプロダクトに与える影響の大きさを思い知らせてくれます。ちょうどスティーブ・ジョブズ氏がMacintoshやNeXTを作ったように……

 パソコンも自動車も産業として成熟が進んで、ビジネスパーソン・エンジニアの理想(良心や美意識)が世の中を変えることはもう出来ないのでしょうか。

6. アップル社が奇跡の復活「Stay hungry, stay foolish」

と寂しく思っていたら、アップル社が奇跡の復活です。そう、皆さんご存じのiMac、iPod、iPhone、iPad等のイノベーションです。
 同様に、富士重工業もアメリカで大いに売れて好調のようです。

7. Stay foolish:真の顧客志向を実践しよう

 創造性・イノベーションについて考えると、やはりスティーブ・ジョブズ氏の有名なスピーチを思い出さずにはいられません。「ハングリーであれ、小賢しくなるな(フーリッシュであれ)」というスピーチの結びの言葉です。この「Stay foolish(小賢しくなるな)」は、次世代貢献マインドで真の顧客志向を実践しようと言い換えられます。

 真の顧客志向を実践することは、短期的に見ればハイリスク・ローリターンです。ばかばかしくて真の顧客志向などやっていられないと言う気持も正直なところかもしれません。
 また、赤字に陥ったならば、短期的には出血を止める施策が必要です。しかし、小賢しい短期的戦略を積み重ねた20年間の先に国際競争力を失った企業が多いのではないでしょうか?

 トヨタやアップルという大企業、天才が率いる企業ならば、「リスクを負って、真の顧客志向を実践できて当然」と思うかもしれません。しかし、規模の小さい富士重工業がひたすら真面目に自動車作りを続けてきて、今も輝いている姿を見ると、「ハングリーであれ、小賢しくなるな(Stay foolish)」すなわち「小賢しくなるな・次世代貢献マインドで真の顧客志向を実践しよう」という言葉の意味がいっそう貴重なものに思われてなりません。

8. 新しい資本主義(企業経営の視点から)

 何故かこのスバル1000のページが人気です。どうして人気なのか考えてみました。
 ズバリ言います、ここに「新しい資本主義」があるのではないでしょうか?それに皆様が気付かれたのではないでしょうか?

(1)東洋の叡智と西洋のテクノロジーが融合し花開いたイノベーション

 アップル社の奇跡の復活には、東洋の叡智と西洋のテクノロジーがカリフォルニアの文化の中で融合し花開いたという側面が大きいです
 そう考えると、日本においてもスバル1000のように「東洋の叡智と西洋のテクノロジーが融合し花開いたイノベーション(優れた価値)」があったという事実は極めて自然でもあります。

(2)私論:新しい資本主義(企業経営の視点から)

 新しい資本主義というのは、ざっくり言って世の中を良くするための経済活動です。具体的には、本ホームページで例証している次のような内容です。

9. 価値観が仕事への思いにつながります

 趣味とそこで大切にしていること、価値観が仕事への思いにつながります。 皆様には「トヨタやAppleのような」優れた会社になって欲しいと願っています。
 例えばスバル1000のように優れた製品、価値あるサービスを創り出せる素晴らしい会社が日本に満ちあふれ、日本の産業界が末永く発展できるように精一杯支援したいと願っております。

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