白花タンポポ(シロバナタンポポ)の栽培の難しさは、豊かな里山の自然を再現することの難しさではないでしょうか?肥料を極少なめに与えるのは難しくありません。難しいのは、腐葉土の使い方です。「完熟」腐葉土を使ったはずなのに?上手く行かなかった。そんな失敗から学び、いろいろ悩んだ事を、シロバナタンポポの栽培に役立つようにまとめました。シロバナタンポポは野草なので、野菜を栽培するようにはいきません。

左:市販培養土で栽培(促成栽培的な懸念)。 右:赤玉土+腐葉土で栽培→ゆっくり健康に育つ。

シロバナタンポポ無施肥開花

1.腐葉土の「完熟」の謎

 腐葉土はほとんど肥料分は無いのですが、1・2年もするうちに土中で分解され(栄養分が吸収できる状態となり)、自然栽培で育てた事例のシロバナタンポポの生育を大いに助けたように思われます。→2年後は健康に育っています。(自然栽培とは、無農薬、肥料を極力使わない栽培方法の意味で使っています。有機農法の同義語に近いです。)

(1)腐葉土の役割

 腐葉土の役割は、次のように2つあります。

  • ①土壌改良
  • ②栄養分

 通常は、①土壌改良効果を期待して入れます。②栄養分の方は、1・2年ほど土中で分解されないと、栄養分が吸収できる状態になりません。(これはバーク堆肥の場合も同様です)

 私の場合は、腐葉土のパッケージに記載されている肥料分を期待していましたので、これは予想外でした。1・2年後に肥効が始まるのに、初期生育を助ける肥料をまったく入れなかったのは失敗です。

(2)市販の完熟腐葉土のレベル

 市販の腐葉土等は、「完熟」と言っても土壌に入れてからも、ゆるやかに分解が進むものがほとんどで、直ぐに栄養分にはなりません。「完熟」と書かれていれば、土壌改良に使うには十分な品質であり、使う際のデメリットはありませんが、栄養分を期待しにくいレベルです。

 簡単に言えば、腐葉土は若干未熟だからこそ微生物により分解される余地が残されています。その余地が無ければ、微生物が増える(期待している土壌改良効果の一つ)ことはないのです。ですから、ある意味で市販腐葉土は若干未熟でなければならないのです。→窒素飢餓・発酵ガス発生の可能性がありますが、それが普通なのです。

  • ①土壌改良:「完熟」腐葉土なら満足できる状態
  • ②栄養分:「完熟」腐葉土でも、直ぐには栄養にならない(窒素飢餓・発酵ガス発生の可能性あり)

(3)腐葉土のリスクに注意すべし

 ちなみに、未熟な腐葉土、バーク堆肥だと分解する際に窒素飢餓か発酵ガスが発生がおこるリスクがさらに高まります。肥料をあげるどころが奪う状態が窒素飢餓です。発酵ガスは生育を阻害します。完熟腐葉土でも、沢山入れれば(私が失敗したように)窒素飢餓・発酵ガス発生のリスクが高まります

2.腐葉土・バーク堆肥を入れ過ぎた失敗

 腐葉土・バーク堆肥を入れ過ぎると、窒素飢餓・発酵ガス発生のリスクが高まります。これは、実際に体験した事ですが、次のような事実からも裏付けられます。下の写真は、赤玉土に腐葉土・バーク堆肥を5割程入れて馴染ませ(初期の窒素飢餓・発酵ガス発生のリスクを低下させる意図)、その後で使おうと思って準備したオリジナル用土です。5割にしたのは、使用する際に赤玉土の割合を増やせばよいと考えたためです。およそ1年後の下の写真では、野草(雑草)の種子が飛んで来て発芽するのが大変少ないのが見えます(通常はもっと雑草が生えてしまいます)。特に、深い鉢に充填した場合に顕著でした。これは、腐葉土・バーク堆肥を入れ過ぎたため、窒素飢餓・発酵ガスが発生したと考えられます。

3.腐葉土リスクの対策:追熟する

 腐葉土・バーク堆肥には、土壌改良の大きな効果がありますので、できれば3割くらいは入れたいところです。しかし、腐葉土・バーク堆肥を入れ過ぎると、窒素飢餓・発酵ガス発生のリスクが高まります。その問題に対する対策は、「追熟」です。

 腐葉土を湿らせ、米ぬかと発酵促進剤(有効微生物10属80種以上を含む「ぼかし」:堆肥作りなどに使うもの)を混ぜ、ビニール袋に入れ二週間から1月間ほど放置します。ビニール袋には小さな穴を数か所あけ、通気性を確保します(好気性発酵の場合)。袋の口も閉めない方が良いです。数日たつと発酵が始まり、暖かくなってきます。そこから、1週間から10日程度で追熟効果が表れるでしょう。

 腐葉土を追熟してみました。いわゆる発酵と同等です。

  • 嫌気性(ビニール袋の口を締める)2週間(酸っぱいにおい、アルコール臭が微かにした)+その後プランターにのせて空気にさらす:10日ほど(相当堆肥臭があったが、10日ほどの後臭いは消えた)
  • 好気性(ビニール袋の口は開けて空気が流入するようにする)2週間

 嫌気性追熟の方が、葉っぱが崩れて小さくなりました。好気性追熟の方はあまり細かくなりませんでした。ただし、性質は追熟によって肥料分が利用しやすくなったと思います。

 ちなみに、この実験後に「①良質の腐葉土」を新たに購入しました。こちらは、パッケージなどそっけないのですが、もめば細かくなるなど熟成が進んでいたようです。「①良質の腐葉土」(光伸の天然腐葉土)には、追熟の必要性は感じません。パッケージは下の写真のようにそっけないです。現代人は表面的な情報に左右されやすいですね(自分も反省)。美しいパッケージの腐葉土より品質が優れています。
光伸製瓦有限会社 「天然熟成 腐葉土」
光伸の天然腐葉土

(1)追熟した腐葉土の効果

 嫌気性追熟した腐葉土を、ミニトマトの栽培に使ってみました。まだ、定植したばかりですが、肥料をあげていないにもかかわらず、良い感じで育っています。古い培養土に嫌気性追熟済み腐葉土を混ぜて使いました。この古い培養土は、去年生えた雑草の根などが入っていて、再利用が戸惑われる土でしたから意外です(益虫と思われる甲虫がいたり生物相が豊富ではありました)。

 ただ、嫌気性追熟腐葉土には、追熟の際に米ぬかを少々入れていますので、多少はその効果もあるのだと思います。(これは自然栽培系のノウハウ全てに言える事です。まったく肥料分が無い状態では、上手く育たないでしょう。豊富な生物相や肥沃な土壌がすでにできている場合は別で、無施肥自然栽培も可能なのでしょう。)

 その比較対象である、古い培養土+普通の腐葉土+土壌改良剤そして無施肥の方は、葉っぱが黄緑色になってしまいました。これは、肥料分が無いため黄緑色になったのでしょう。

4.赤玉土だけのシロバナタンポポのケース

 通常は、赤玉土だけで植物を育てるのはお勧めできません。腐葉土を3割程度入れるのが定石です。

 しかし、忙しくて腐葉土をブレンドする暇がなかったケースがありました。この時は、買ったシロバナタンポポ苗が痛んでいた為直ぐに植える必要がありました。しかし、多忙な時でしたので、腐葉土ブレンドの手間暇をかけられずに赤玉土だけの鉢に植える事になりました。

(1)赤玉土だけで短期間なら育つけれど

 結論からいうと、赤玉土だけでも、シロバナタンポポはちゃんと育ちました。地上部が枯れそうになった苗が復活した程ですから、予想外に生育が良かったと言えます。ただし、2年目を迎えると、やや生育が遅くなっているように思えます。

①苗を赤玉土に植えた直後、②枯れそうになりました、③回復し、1年後には開花しました。

シロバナタンポポ開花

 その後、冬に地上部が消失(害虫にかじられた等が原因)。←写真無し。
④2年目の春は、小さめの葉っぱが多数生えてきましたが、花が咲く様子はありません。赤玉土だけでは長期の生育が悪くなるようです(ギザギザのある葉が育っていません)。1年目の秋に多少施肥しましたが、それでもこの程度です。中期的に見れば、腐葉土はあったほうが良いでしょう。 

(2)腐葉土が多すぎるデメリットは確かにある

  • 赤玉土だけ(腐葉土無し)のケース(推奨されない栽培方法):良く生育した
  • 赤玉土に腐葉土を加えたケース(一般的には推奨される栽培方法):生育が悪かった

 赤玉土だけ(腐葉土無し)のシロバナタンポポが良く生育したケースと、赤玉土に腐葉土を加えたケースで生育が悪かった事を比較すると次のようなことが言えます。「腐葉土が多すぎるデメリットは確かにある」

 したがって、腐葉土を追熟したり、腐葉土の割合を減らし(有機肥料を少々入れたり)するべきでしょう。市販されている腐葉土なら、2割から3割が良いのではないでしょうか?本当に完熟した良質の腐葉土もありますので、それならば3割いれても問題ないと思います。

5.ミニトマトの発芽実験:参考にならなかったけれど良い経験

 ミニトマトの発芽実験。用土で初期生育が相当違います。ステラミニトマト(固定種)を室内で種から育苗。ミニトマトは特殊で、過湿に弱く、肥料に敏感です(徒長しがちです)。自然栽培を志向したので、腐葉土を入れ、肥料は入れていません。この時使った腐葉土は、熟成が足りなかったようです(写真中③のポットの様に、こげ茶色で荒い繊維質が多かった)。

④が一番育っています:種まきの土8、腐葉土2。この④は大きな苗になり、実も実りました。(種まきの土には、極少ない量ですが、初期生育に必要な肥料が入っているようです。)

①赤玉土小4中2、腐葉土4。②種まきの土6、腐葉土4。③腐葉土10。(こちらは全て苗になりませんでした。小さい本葉がでた程度で生育が止まりました。)

  • ①赤玉土小4中2、腐葉土4:育たない(肥料分がゼロで育たなかった。腐葉土が4割と多く腐葉土過多のデメリットもあった。腐葉土は短期では肥料分を発揮しない。)
  • ②種まきの土6、腐葉土4:育たない(種まきの土に若干肥料分はあったものの、腐葉土が4割と多く腐葉土過多のデメリットが出た)
  • ④種まきの土8、腐葉土2:育った(種まきの土に若干肥料分はあった。腐葉土が2割と少なくデメリットは顕在化しなかった)

(1)超・完熟腐葉土

 ③腐葉土10については、実験的な種まきです。栄養分が使える状態にまで「完熟」した腐葉土を使う場合は、腐葉土100%でも良いミニトマトの苗ができるそうです。そのような超・完熟腐葉土は市販されていません。(超・完熟腐葉土は、無施肥栽培されているプロ農家さんが自作されています。)