「若手社員(ゆとり世代)が何を考えているか解らない。」と悩んでいるリーダー・管理者の方へ。「自分と違う考え方・価値観の若手」とコミュニケーションするには、特別な方法があります。異文化対応型コミュニケーションと対話です。さらに、簡単に使えるツールを紹介します。

 自分と違う考え方・価値観を持っている若手に対するコミュニケーションとはどうあるべきか?皆様の悩みに応えます。

Contents

1.前提:若手社員は自分らしさ重視(個性重視、自己実現が尊い)

 若手社員(ゆとり世代)の特徴については、「解らないと言う前に知る!本当は戦力になる若手社員ゆとり世代の特徴」の記事で説明しました。もう一度ここで簡単に整理すれば、そのポイントは個性重視(自分らしさ重視)です。

(1)自分らしさ重視(個性重視、自己実現が尊い)

  • 強み:創造性の発揮を求められる社会では、個性から価値のあるものが生まれる。他人と比較し、他人を蹴り落とすような無意味な競争はしない(全体最適化に向く)。多様性尊重は、創造性発揮の重要な方法論。
  • 弱み:「自己中心的」「他人とコミュニケーションをとるのが苦手」「好きな仕事しかしたくない」「自分らしさ第一で、会社が合わなければ退職する方が合理的」

2.A.自分B.会社C.お客様・仲間の関係性

 貴方(リーダー・管理者)と若手社員との違いを、A.自分とB.会社、C.お客様・仲間の3つの関係性でとらえる事が大切です。こうした違いがあるため、言葉のコミュニケーションだけでは、貴方(リーダー・管理者)が思ったことが相手(若手)に伝わりにくいのです。

(1)貴方(リーダー・管理者)

  •  A.自分(貴方):様々な経験をして、机上の知識以上の熟練、知恵、ノウハウがある。自分らしさも大切であるが周囲との関係も同じように大事にする。
  •  A.自分(貴方)とB.会社:様々な経験をして、組織の中で自分の能力を活かす術を知っている
  •  A.自分(貴方)とC.お客様・仲間:様々な経験をして、お客様や働く仲間に喜ばれ、それが仕事の喜びにつながった経験がある

(2)若手社員(ゆとり世代)

  •  A.自分(若手):自分らしさを大切にしているが、不慣れな会社・仕事に直面し、「期待したものと違う」等とストレスを感じている(アイデンティティが揺らいでいる)
  •  A.自分(若手)とB.会社:組織の中で自分の能力を活かす機会に巡り合うのが難しい(最初は簡単な仕事、雑用もある)。会社組織の中で自分を大切にしながらどうやって周囲や会社とうまくやっていくべきか解らない
  •  A.自分(若手)とC.お客様・仲間:お客様や働く仲間に喜ばれる経験が極めて少ない(仕事の喜びを体験できていない、頭で理解したつもりでも体感できていない)

3.コミュニケーションの仕方が間違っているのか?

(1)話し方・言葉の使い方の間違いではない(表面的な間違いではない)

 若手社員(ゆとり世代)が何を考えているのかわからないのは、コミュニケーションの方法論が間違っているからです。自分と違う考え方・価値観を持つの若手社員(ゆとり世代)に対しては、「異文化対応型のコミュニケーション」の方が良いのです。外国の方とコミュニケーションするつもりになるのが良いのです。外国の方とは生まれ育った環境が違いますので、「自分と違う考え方・価値観を持っている」ということを、前提として受け入れ易いのです。

 つまり、多様性尊重のコミュニケーションですね。多様性尊重というと難しいですが、「(自分と違う考え方・価値観を持つ相手)相手を尊重したコミュニケーション」の事です。

(2)コミュニケーションの方法論が間違っている

 表面的な話し方・言葉の使い方ではなく、コミュニケーションの方法論が間違っているのです。具体的には、次のような内容が間違っているのです。

  • 一方通行のコミュニケーションが間違っている
  • 上から目線のコミュニケーションが間違っている
  • 相手の考え方・価値観を尊重しないのが間違っている
  • 特に個性重視の若手社員に対しては、普通に話すと「押し付けがましいお説教」になってしまいがち

(3)「対話」の方法論を採用する

 それゆえ、①双方向の、②働く仲間目線の、③相手を尊重したコミュニケーションが効果的なのです。つまり、「対話」の方法論を用いるべきなのです。(対話の進め方については後述します。)

  • ①双方向のコミュニケーションが効果的
  • ②働く仲間目線のコミュニケーションが効果的
  • ③相手を尊重したコミュニケーションが効果的

(4)具体的なツールを紹介します

 若手社員(ゆとり世代)とのコミュニケーションで使う具体的なツール「3つの言葉」を紹介します。3つの言葉は、具体的には次の通りです。

  • 第一の言葉「仕事をしていて嬉しかった体験がありますか?」
  • 第二の言葉「仕事で何か困っていることはありませんか?」
  • 第三の言葉「あなた一人でなく私と一緒に考えましょう」

(5)理論と実践の積み重ねで生み出したツール

 この「3つの言葉」ツールは、コンサルティング実務の中で、沢山の若手社員と会話してきて作り上げたものです。心理学の本を読んだり、机上の理論だけでなく、現場で常に考えながら目の前の一人ひとりの若手社員に対応してきましたので、このような絶妙のコミュニケーションツールを生み出すことができたのです。

(6)自然に上手くいくのが3つの言葉の組み合わせの妙

 この3つの言葉を使うと、自然に「相手を尊重したコミュニケーション」「双方向のコミュニケーション」「働く仲間目線のコミュニケーション」になるように配慮して作りました。だから、「コミュニケーションの方法論が間違っているのか?」などと、難しいことを考えなくても、自然に上手なコミュニケーションが出来るようになるのです。

 3つ言葉の優れたポイントは次の通りです。これらが組み合わさるコンビネーションの妙で、優れたコミュニケーションが可能になります。

A.第一の言葉「仕事をしていて嬉しかった体験がありますか?」

 「仕事のポジティブな体験について話しましょう」という意味です。これは、「相手の人間性・個性を発見、尊重しよう」とする意味も持っています。だからこそ、個性重視世代の若手社員の心を開かせるのです。

B.第二の言葉「仕事で何か困っていることはありませんか?」

 「私は貴方を助けたいのです」という意味です。貴方から若手社員への支援表明です。「困っていることがあったら相談に乗りますから」と言外に含ませた言葉です。部下や後輩の仕事が上手く行くように手助けしてあげたいという思いやりにあふれた言葉です。

C.第三の言葉「あなた一人でなく私と一緒に考えましょう」

 第三の言葉「あなた一人でなく私と一緒に考えましょう」は、貴方と若手社員(部下や後輩)が働く仲間であるという協働者宣言です。上から目線の管理じゃないんだよというメッセージです。

 第三の言葉「あなた一人でなく私と一緒に考えましょう」は、部下と上司、管理する者と管理される者という関係から、いっしょに働く仲間という関係目線へ変わっていく宣言なのです。

4.対話の進め方・話し方・接し方

 実務に役立つより高度な双方向コミュニケーションがあります。それが、「対話」による双方向コミュニケーションです。以下にポイントを解説します。

(1)「対話」とは何か

 「対話」とは、簡単に言えば、「まず聴こう」そして、「相手をの意見の価値を認めて、率直に意見交換しよう」ということです。当然、双方向のコミュニケーションになります。

(2)「対話」の定義

 「対話」の定義は、「異なる意見や価値観を持った者たちが、話し合いながら理解を深め、より良いものを生み出す会話」です。

 「管理者と部下などが、お互いの意見を建設的に率直に出し合って、意見や物事を改善するコミュニケーション技法」です。言葉を換えれば「創造型・問題解決型の双方向コミュニケーション」です。

 傾聴技法やと似ているのですが、より良い成果をあげる為に、より優れた意見や仕事のやり方や物事を「改善する」(より良いものを作り出す)という創造的なコミュニケーションである点が特徴です。

 コーチングのように「答は部下の中にあり」とし、上手に質問してあげよう(上司の質問力が成否を決める)と部下の中の潜在的答えに強く固執することはありません。

 「対話」は上司と部下達で一緒になって考え、新しく作り出す「職場メンバーによる改善」に指向する双方向コミュニケーションです。

(3)「対話」コミュニケーションのポイント

A.自分の考えを主張する

 まず、自分の「考え」や、なぜそう考えるのかという「背景」を話します。

B.若手社員達の考えを傾聴する

 次に、自分の意見を言うと同時に、若手社員達の考え・意見とその背景を「共感しながら」傾聴して、理解に努めます。

C.若手社員達の考え・意見を尊重する

 たとえ自分の考えと違っても若手社員達の考え・意見を尊重し、「そういう考え方もある」と受け止めます。「自分の考えが正しい」(他の人考えは間違っている)という論争型の思考パターンは捨てましょう。一時ディベート(討論)の技術が流行しましたが、対話はそれとはまったく違います。

D.考え・意見の差異の中からより良い新しい考えを作り出す

 お互いの考え・意見の差異の中から、新しい考え・より良いものを作り出すヒントを見付け出す方向で話し合います。

(4)経営学で展開される「対話」(ダイアローグ)

 経営学で展開される「対話」(ダイアローグ)は、野中郁次郎教授の提唱する考え方「知識創造理論」を背景にしています。経営学における「対話」(ダイアローグ:)とは、簡潔に言えば「お互い立場の違う者が、それぞれの視点から様々なアイデアを出し合って前向きな議論を行い、より高度な付加価値や新たな最適解を創造すること。」です。

 日本企業の発展の要因の一つは、この対話によって優れた価値や新しい技術が産み出されたからなのです。

参考資料:『能力・実績を高める「知識創造型OJT」~コンピテンシー・コーチングによるOJT革新の一試論~』寄稿「公務研修」第201号、加藤昌男、(財)公務研修協議会、2007年。

5.コミュニケーション能力を高めたいリーダー・管理者に役立つ参考書籍

ちょっとズレてる部下ほど戦力になる!日本経済新聞出版社刊、加藤昌男著。最新情報最新刊!(このホームページ上にも紹介記事ページがございます)

 若手社員を戦力化し、職場を活性化する最新のノウハウを解りやすく説明しています。若手社員を戦力化しやる気にさせる方法、内発的動機づけ、仕事の楽しさを味わう方法、組織活性化の方法、コミュニケーションを取る方法などこのページでは紹介しきれない沢山のケースや実践例で説明しています。さらに、具体的方法、具体的プログラムなどお役にたつツール(ソリューション)をまとめました。きっと皆様のお役にたつことと思います。わかりやすく平易な文章で丁寧に書いていますので、「とても読みやすい」「読んでいて面白い」と喜ばれています。

 若手社員は本当は戦力になります!若手が何を考えているか解らないと悩むリーダー・管理者の皆様の為に書きおろしました

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新情報new改良『労政時報』の労務行政研究所様が、拙著のレビューを書いてくださりました(人事・労務の専門情報誌『労政時報』の労務行政研究所が運営するjin-jour(ジンジュール)様からのレビューです)。誠に有り難うございます。