企業理念を部下・職場に浸透させる(マネジメント能力の開発3)

 企業理念を普通に言葉で伝えても徹底はできません。企業理念を上司から部下へ一方的に伝えるだけではダメなのです。企業理念を部下・職場に浸透させることを通し管理能力を実践的に開発する方法を解説します。「企業理念にそった行動とは何か?」を部下と一緒に考えるトレーニングを積みましょう。

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1.企業理念の性格が「集中」から「総合」へ変化

(1)わかりやすかった「集中」の時代

 日本経済が欧米先進国に追いつこうと努力していた時代には、企業経営にも目指すべき目標がありました。目に見える目標に向かった時代には、企業理念を使った社内の活性化というと、沢山の社員のベクトル(意識の方向)を合わせるという「集中させる」性格が強かったものです。さらには、全社一丸、一枚岩の組織を作るといった「強く一個所に固まる」という集中させる性格が強かったのです。

 沢山の社員がいる場合には解りやすく「この方向に行きなさい」「皆が同じ様に行動しなさい」と示せば、管理しやすくなります。例えば、筆者自身もメーカーに勤務していた頃に「コストダウン30%」の行動方針を「チャレンジ・サーティ」と評語化して取り組んだ経験があります。確かに、この解りやすい行動方針のおかげで、千人を超える工場が一丸となって努力できたのです。

 しかし、その一方で営業活動のための費用が減らされてしまったのです。営業活動をして売上高を高めなければ、いくらコストダウンしても最終的な業績は低迷してしまいます。

(2)複雑になった「総合」の時代

 社会や経済が複雑かつ高度に発展した今日では、企業理念の性格も変わってきました。一言で言えば、企業理念の性格が「集中」から「総合」へ変化したのです。

 総合とは、一般的には「さまざまのものを一つに合わせて、まとめ上げること。」(出典:岩波国語辞典)という意味です。企業理念の場合には、複数の行動指針や価値観を列挙して社員に示します。そして、実際の仕事の場面で複数の行動指針や価値観をいずれも尊重し、どのような具体的な行動をとるべきか(どう総合すべきか)は現場に任されるのです。

(3)総合型企業理念は優れた意思決定能力を育てる

 花王グループの企業理念「花王ウェイ」の事例ですと、①よきモノづくり、②絶えざる革新、③正道を歩むの3つの基本となる価値観がありました。そして、行動原則は、イ)消費者起点、ロ)現場主義、ハ)個の尊重とチームワークの3つでした。(出典:花王グループWebサイト

 そして、花王は純然たる私企業ですので、(A)「企業業績向上(収益を上げる)」という価値観は企業理念にとりあげるまでもなく常識です。また、(B)目標達成に関しては非常に厳しい風土があります。

 仕事の上で、重要な判断をする場合には、これらの、①②③、イ)ロ)ハ)、(A)(B)という複数の行動指針や価値観をそれぞれ尊重し、総合的に見て最適な判断をする事が期待されるのです。

 花王の事例で、ある食品に毒性のあるものが見つかった際に極めて素早くリコールを実施したのは記憶に新しい事です。素早い対応で事態を収集できたのは、あらかじめ複数の行動指針や価値観が「花王ウェイ」としてあきらかになっているので、常にそれらを「総合的に考えて最良の判断をする」のに熟練していた事も重要な成功要因です。普通の企業であれば、「なんとか業績悪化の事態を避けられないものか?」などと考えているあいだに、判断のタイミングを逃してしまうものです。

2.企業理念を部下・職場に徹底する秘訣は?

(1)企業理念を普通に伝えても徹底はできない

 かつての、「集中の時代」には、企業理念を上司から部下へ一方的に伝えるだけでよかったのかもしれません。判断も迷う要素は少なかったでしょう。

 しかし、今や①顧客満足、②品質、③安全、④安定供給・納期厳守、そして⑤従業員満足等も大切にしなければ企業の目的は達成できません。もちろん、企業である以上⑥収益性を高め、⑦継続的に発展し続ける使命があるのは大前提であり言うまでもありません。

 日々の仕事の中で、重要な判断が求められるときには、これらの複数の行動指針や価値観の体系である「企業理念」を尊重し、どのような具体的な行動をするべきかを現場で判断しなければならないのです。

(2)企業理念にそった行動を部下と一緒に考えるトレーニングを積もう

 花王の事例でもお解りの通り、常日頃から企業理念にそった行動はどのような行動かを考えるトレーニングをする必要があるのです。具体的には、重要な判断の際には部下といっしょになって「今回の場合には、企業理念を尊重して考えると、どのように行動すべきなのか?」と話し合いをするのです。

 これは、言葉を変えれば「企業理念にそった行動とは何か?」を部下と一緒に考えるトレーニングを積みましょうということです。

 具体的には、日々の仕事の重要な判断のおりに触れて、部下に次のように語りかけるのです。「今回の判断はいろいろな側面を考える必要がある。企業理念を尊重して考えると、どのように行動すべきなのか?君と私で一緒に考えようじゃないか。」

 この「君と私で一緒に考えよう」というところが重要です。部下の担当の仕事なのかもしれませんが、その仕事が上手く行くように「君と私で一緒に考えよう」と語りかけるところから、職場チームの判断力が育っていくのです。

 そして、この語りかけには、下の仕事を管理者が支援するというマインドが背景にあります。その支援マインドは部下を勇気づけ、共に考えることでお互いに自律性が身につきます。

(3)正解が解らないことを恐れない

 ここで重要なのは、「正解が解らないことを恐れない」ことです。管理者である貴方と部下で一緒に考えるそのプロセスが尊いのです。正解が解っていることを教えるよりも難しいかも知れませんが、この努力が総合的に最適な判断を摸索する実践的なトレーニングになるのです。

 また、高度で複雑な判断をする場合には、正しい正しくないという正解はありません。様々なあい矛盾することもある要素をどうやって最適に満足させるか?という「最適解」に挑戦し続けることが重要なのです。そして、それが貴方自身の能力を実践的に高める素晴らしい機会になるのです。

3.リーダー・管理者に役立つ参考書籍

ちょっとズレてる部下ほど戦力になる!日本経済新聞出版社刊、加藤昌男著。最新情報最新刊!(このホームページ上にも紹介記事ページがございます)

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