職場のコミュニケーションというのは「何となく活気が出た」や単なるおしゃべりでは足りません。業績向上につながる「対話」は問題解決型の双方向コミュニケーションとして大きな価値があります。自分と「違う意見」が高業績を産み出します。
 今回は、職場のコミュニケーションを活性化する能力を実践的に開発する方法の上級編を解説します。

Contents

1.問題解決型の「対話」

 実務に役立つより高度な双方向コミュニケーションがあります。それが、「対話」による双方向コミュニケーションです。

(1)「対話」とは「問題解決型の双方向コミュニケーション」

 「対話」とは、一言で言えば「管理者と部下などが、お互いの意見を建設的に率直に出し合って、物事を改善するコミュニケーション技法」です。

(2)「違う意見」に価値がある

 対話で重視するのは、「違う意見」です。上司と部下の立ち場の差からくるものの見方考え方が「違う意見」を産み出します。

 かつては、「違う意見」というと、どちらかが間違ってる、と考えたかも知れません。しかし、今日ではAかBかどちらが間違っているか?と考えるのではなく、AとBの「違う意見」を話し合うことで、さらによいCという最適解を創造できると考えるのです。

(3)「対話」コミュニケーションのポイント

 「対話」コミュニケーションのポイントは、前回解説しましたので小見出しのみ次に再掲します。①自分の考えを主張する②部下達の考えを傾聴する③部下達の考え・意見を尊重する④考え・意見の差異の中から新しい考えを作り出す、がポイントです。

(4)問題解決型の「対話」のステップ

問題解決型の「対話」は、次のステップで進めます。

A.雰囲気づくり

B.仕事が上手く行っているかどうか聞き出す

C.現状分析を徹底する

D.仕事が上手く行く方法を聞き出す・対話で創造する

E.「企業理念」を問題解決のヒントに活用

F.「実行」できるようにするために細分化

G.能力開発必要点の発見

H.行動発揮への動機付け

I.行動化:部下に行動発揮を約束してもらう

J.クロージング

2.問題解決型の「対話」の各ステップの解説

 問題解決型「対話」の各ステップを解説します。

(1)雰囲気作り

 相手の話を聴こうとする態度、「傾聴態度」により、部下が話しやすい状況を作ります。

 次に、簡単に答えられる質問で、会話を円滑に進めるきっかけをつくります。「話しやすい質問」なら気軽に答えられ、それによって相手の気持がほぐれます。

(2)仕事が上手く行っているかどうか聞き出す

 「どうですか、仕事はうまくいっていますか?」などと、部下を支援する気持で話しかけます。「あの仕事はどこまで進んでいるんだ?」などと、詰問調になってはいけません。

(3)対策立案のための前提として現状分析を徹底する

 現状分析を徹底することが問題解決の鍵となります。換言すれば、現状分析が徹底されていないために、仕事が上手く行くようにする対策が見つからない場合が多いものです。

 以下の現状分析を徹底することで、対策立案のスタート台に立つことができます。

①情報収集・実態把握

②問題の全体像の分析・課題形成

「②問題の全体像の分析・課題形成」について、のポイントは次の通りです。

イ)物事を表面的に把握して満足するのではなく、「具体的にどういうことか?」という問いを繰返し、体系的に深く実態把握する。

ロ)問題があれば、その問題の構造を体系的に掘り下げ細分化し、問題の全体像を把握・分析する。

(4)仕事が上手く行くようにするための方法を聞き出す

A.仕事が上手く行くようにするための方法

 「仕事が上手くいくようにするための方法をいっしょに考える」という質問スタイルをとります。

 「今実施している方法をさらに効率良くするためには、どのように改善すればよいと思いますか?」といった質問を繰り返します。

 具体的には、①「拡大質問」その質問によって相手の答えが広る質問、②「未来質問」未来のあるべき姿や望む結果について聞く質問、③「肯定質問」肯定的な部分に目を向けた質問などにより、上手に「仕事が上手くいくようにするための方法をいっしょに考える」のです。

 例えば、「この仕事を上手くやり遂げるには、どのようにすればよいと思いますか? 」「この目標を達成するには、仕事の進め方をどのように改善したら良いですか?」「○○を改善するために、あなたがこれからできることはどんなことですか?」等と質問し傾聴します。

B.「なぜ?」は本質ヘせまる問い

 仕事が上手く行っていないのは、部下の行動や考え方に原因があります。その原因を探ることが問題解決に繋がります。通常の原因分析は「この仕事が上手くいっていないのはなぜだろうか?一緒に考えよう」という質問になります。

 ポイントは、「なぜ?」という質問を詰問調で行わないことです。詰問調の「なぜ?」はマイナスイメージが強いため使いません。

(5)仕事が上手く行くようにするための方法を「実行」できるようにするために細分化

 仕事が上手く行くようにするための方法を、「これが実行できれば、良くなる」とお互い納得できるレベルまで細分化します。

 細分化とは、抽象的な物事をできるだけ細かくし、相手が行動に移せるようになるまで、具体的にすることです。

(6)能力開発必要点の発見

 能力開発必要点、すなわち仕事が上手く行くようにするために強化すべきポイントを聞き出します。

 さらに、改善ポイントを強化する具体策を質問を交え、部下と一緒に考えます。強化すべきポイントが、知識・技能ならば、職場の先輩に教わるOJTで十分なのか、より専門的なOff・J・Tや自己啓発が必要なのか?などと対話をします。

(7)行動発揮への動機付け

A.支援を約束する

 上司は部下の行動化のための支援を約束します。

B.キャリア形成・自己実現への結びつけ

 また、この仕事が上手く行くことが部下の成長に繋がり、それは部下のキャリア形成・自己実現に直結することを話します。

(8)行動化:部下に行動発揮を約束してもらう

 部下に、どんな行動を、何時までに、どのような水準で、実行するのかを約束してもらいます。

(9)クロージング:対話の終了

 上司は、その行動が実行されることで、①業務が完遂されることと②部下の成長が実現することを確認して終わります。