経営理念(ビジョン-ミッション)を人事戦略・人事制度の中心に据えた「超・成果主義」は中堅企業・中小企業に最適な最新の人事(ポスト成果主義)です。なぜなら、会社というものが実体をともなって見えるのが中堅・中小企業の強みだからです。
 さらに「会社を良くする人事を作ろう」と思って頂けるのは、まず中堅・中小企業です。「良い会社になりたいという思い(経営視点への変革)」それは全体最適化にほかなりません。

 経営理念(ビジョン-ミッション)を人事戦略を中心に据え、「会社を良くする人事を作ろう」と思うことから、より良い人事マネジメントへの改革、「会社の発展につながる人材育成・組織活性化」がスタートします。バリューやウェイを人事評価に使うなどの表面的な活用では効果がありません。

Contents

1.中堅・中小企業におけるこれからの人事マネジメントのポイント

 中堅・中小企業におけるこれからの人事マネジメントのポイントは、次の5つです。

①全体のバランス「全体最適」を重視する
チームワークを発揮し「競争から協働へ
③企業経営への情熱・経営理念を重視する(ビジョン-ミッションの人事戦略
④地道に辛抱強く人材を育成する
大企業の人事戦略の上辺だけを真似しない

(2)全体のバランス「全体最適」を重視する

 企業経営、人事マネジメントの各分野・各部分について、一つひとつを精密に作り上げるのが理想的ですが、膨大な費用と時間が必要なため非現実的です。したがって、一つひとつの部分の精密さについては拘り過ぎないほうが良いのです。

 徹底してこだわるべきは、「全体最適」すなわち全体のバランスが優れているかどうかです。

(3)チームワークを発揮し「競争から協働へ」

 企業間競争に勝ち抜くためには、「対話と協働」のチームワークの相乗効果・知識創造活動により、優れた組織能力を発揮させることが極めて重要です。

(4)強み企業経営への情熱・経営理念を重視し活用する

 中堅・中小企業の強みの一つは、経営者の「企業経営への情熱・経営理念」を活かしやすい事です。具体的人事戦略としては、経営理念(ビジョン-ミッション)を人事戦略を中心に据え、共有すべき価値観(バリュー・○○ウェイ)を作り出し、①組織の知恵(コンピテンシー)と連携させたり、②対話型コーチングなどにより「対話と協働」を実践することで、優れた企業文化を築くことができます。

2.中堅・中小企業の強み・特色・個性を活かした人材育成・組織活性化

(1)人材育成はなぜ大切なのか?

 「企業は人なり」人創りは経営の根幹と言われています。具体的は、以下のような理由から人材育成の大切さは疑いの余地がありません。

  • 社員の能力が向上すると、会社の機能(性能)が高まり、業績向上に繋がる
  • 人材育成により社員は成長し社員満足度が高まりやる気が高まる
  • 人材育成は企業の人的生産性向上に繋がる
  • 企業の中長期的発展に人材育成は不可欠

(2)大企業と中堅・中小企業の人材育成はどう違うのか?

 採用難・若年層の早期退職等、中堅・中小企業を取り巻く人手不足の雇用環境下では、大企業と同じことは出来ません。例えば、次のようなポイントが重要です。

A.大企業式:大量採用、成果査定、選別・・・という余力は無い

B.全ての従業員を精鋭化する人材育成が必要

(3)中堅・中小企業の「強み」:大企業にない

 中堅・中小企業には大企業にない「2つの強み」があります。それは、①大企業にない「個性」と②経営理念・経営者の思いを活かせる一体感・機動力です。

A.中堅・中小企業には大企業にない「個性」がある

  • 経営者の個性
  • 製品の個性・社員の個性

B.経営理念・経営者の思いを活かせる一体感・機動力

 中堅・中小企業では、「会社」の実態・全体像が目に見えるため、一体感が自然に醸成されます。

 また、社長の姿を見ることが出来るので、経営者の言葉が実体感を伴って社員に浸透しやすいです。

 意思決定も複雑な仕組みを経ずにできますので、経営理念・経営者の思いを日々の行動につなげやすく、その機動力が強みとなります。

(4)「ものづくり」企業の「強み」:社会貢献が目に見える

 「ものづくり」企業には外の業種には無い「強み」があります。

 「ものづくり」企業の場合には、「仕事の成果=製品」ですので、仕事を通して自分の社会貢献が眼に見えるのです。これは、本質的な「やりがい・働きがい」につながります。「ものづくり」の過程は、最高の人材育成の場になるのです。

 社会貢献などというと、一般社員にとっては絵空事と考えがちですが、「会社の事業を通して社会に貢献する」という会社の目的は、一番身近な社会であるお客様に貢献し喜んでいただくことであると具体的に目に見える、肌に感じられるレベルでこそ納得できるのです。

 それが、お客様の喜びと社会貢献の為の会社組織・社員の職業人生の同心円ストーリーです。下の概念図を見てください。

会社組織・社員の職業人生の同心円ストーリー1番身近な社会、具体性のある社会はお客さまのこと

(5)「強み」を活かす事こそ経営戦略・人材育成の最大のポイント

 自らの「強み」を活かす事こそ、経営戦略・人材育成の最大のポイントです。

  • あなたの会社の特色・個性を活かした人創り戦略
  • 経営者の強み・特色・個性を活かした人創り戦略

 「経営理念・経営者の思いを活かせる一体感・機動力」という強み・個性を「見える化」組織の知恵を顕在化し、前向きな行動に結びつける、それが○○ウェイです。「花王ウェイ」「トヨタウェイ」など…

3.強み・個性を「見える化」するビジョン-ミッションの人事戦略:○○ウェイ(バリュー)

 強み・個性を「見える化」組織の知恵を顕在化し、前向きな行動に結びつけるましょう。組織の共有価値の見える化・共有化施策は、○○ウェイ(HPウェイ、トヨタウエイ)バリュー(GEバリュー)などとも呼ばれます。

(1)経営理念の新しい活性化機能

 経営理念には、2つの機能があります。①CI機能と②活性化機能(○○ウェイ)です。

A.コーポレート・アイデンティティ的な機能(従来型)

 企業理念は、対外的にはお客様・株主・取引先・地域社会に対して、「我が社はどのように役立つのか」を伝えます。その企業理念に、ライバル企業との違うメリットを盛り込めれば、競争に打ち勝てる強力な施策になります。いわば、コーポレート・アイデンティティ的な機能です。

B.企業理念の社内向け活性化機能:○○ウェイ(バリュー)

 さらに、企業内の社員・組織に対しては、企業理念は「どのような基本的な考え方・価値観に基づいて仕事を遂行すべきか」を伝える機能を果します。近年、企業理念の社内向け活性化機能が注目され、様々な企業で優れた施策が実践されています。

(2)経営理念を行動レベルに展開する○○ウェイ(バリュー)

 経営理念を毎日の行動に連係させることが重要です。

A.「見える化」から「行動化」へ

経営理念を行動レベルに展開する○○ウェイ

B.価値型コンピテンシー:○○ウェイ(バリュー)

 経営理念を社員で共有する○○ウェイは、組織の共有価値観(Value)づくりです。○○ウェイ(バリュー)は、価値型コンピテンシーとも言えます。

経営理念を行動レベルに展開する○○ウェイ

(3)社員と組織の自律性を高める○○ウェイ

 「組織の方向性」を明示し、大幅な『権限委譲』を可能にし、社員と組織の自律性を高めます。

組織の方向性を明示し大幅な権限委譲、社員と組織の自律性を高める

 

4.ビジョン-ミッションの人事戦略:○○ウェイ(バリュー)の進め方

 ○○ウェイ(バリュー)の進め方のポイントは次の通りです。

バリュー作成-○○ウェイの進め方のポイントフロー図

(1)顧客分析技法

 顧客分析技法は、「我が社の顧客は誰か?」そして、「我社は何を顧客に提供するのか?何をもって社会に貢献するのか? 」という議論を行います。

 職種横断的なワーキング・グループを編成して、グループディスカッションを行ってまとめていきます。

 この、顧客分析技法を通して、会社が「何のために存在するのか?」という使命が明確になり、一人ひとりの人材に「仕事の意義」を実感させてくれます。

(2)仕事の喜び分析技法

 次に、仕事の喜び分析技法により、「働く我々が仕事の喜びや楽しさを感じるのは、どの様な場合だろうか」を議論します。

 進め方は、①アンケートによる全社員へのメッセージ発信・受信、②ワーキング・グループによるディスカッションの2段階です。

A.アンケートによる全社員へのメッセージ発信・受信

 アンケートによる全社員へのメッセージ発信・受信を行います。(内容は「働く我々が仕事の喜びや楽しさを感じた体験談」)

B.ワーキング・グループによるディスカッション

 職種横断的なワーキング・グループを編成して、「働く我々が仕事の喜びや楽しさを感じるのは、どの様な場合だろうか」とグループディスカッションを行ってまとめていきます。

(3)経営理念の具体化技法

 3つ目のステップは経営理念を議論するステップです。

(4)組織の共有価値作成技法

 上述の3つのステップの①顧客の視点、②働く喜びの視点(働く我々の視点)、③経営の視点がそろったところで、ようやく「組織の共有価値」が作成できる段階になります。

 ここも大切なステップですので、進め方は、①アンケートによる全社員へのメッセージ発信・受信、②ワーキング・グループによるディスカッションの2段階です。

参考文献:「人を伸す力」エドワード・L. デシ、1999、新曜社。
「内発的動機づけ」の心理学を展開した本です。