グローバル人材育成の秘訣・真髄は、実は英語力ではありません。特に、今グローバル市場を開拓する為に必要な(極めて貴重な)フロンティア型グローバル人材にとっては英語力は二の次です。グローバル人材育成の最大のポイントは「ダイバーシティ」(多様性尊重)です。「自分と違う意見・異なる価値観に上手に対応し、さらに違いの中から新たな価値を創造する力」なのです。一言で言えば「ダイバーシティ」(多様性尊重)は本ホームページで重視している「和して同ぜず」の知識創造の方法論そのものです。

 つまり、ざっくり言うと『グローバル人材=「和して同ぜず」ができる次世代リーダー。』なのです(差は英語力ですが本質的な差ではなくトレーニングで修得可能です)。ですから、グローバル人材の育成にも、本ホームページの情報が大変お役に立ちます。

 日本人は、案外英語が苦手です。特に、国内でバリバリ仕事をしている出来るビジネスパーソンは苦手意識があるでしょう。しかし、英語を社内公用語にすると大々的にPRしている企業でも、海外事業が上手くいかず、撤退するような事例もでて来ています。どうしてそうなったか?そのヒントがここにあります。

1.ダイバーシティ(多様性尊重)が最大のポイント

(1)英語が1番大切じゃないのですか?

 経済産業省のグローバル人材育成関連の調査に私が参画した際に、ご指導いただいた大学教授が、ふとつぶやくようにおっしゃったのが「グローバル人材で大切なのは、ものの見方・考え方なんです。英語じゃないんです。(英語は当然必要なんですけど、一番じゃないんです。)」という言葉です。

 同様に、ご協力いただいた別の大学教授も、「グローバル化のキーは、『文化的多様性のマネジメント』である。語学ではなく文化的多様性に対応できるかどうかが重要である。大変なコンフリクトを感じながら、どう行動すべきか体験することが重要」と強調しています。

(2)自分と違う意見・異なる価値観に上手に対応し新たな価値を創造する力

 では、その「グローバル人材で大切なものの見方・考え方」は何なのか、経済産業省の調査への参画を経て、さらに探求した結果得られたのが冒頭の結論です。すなわち、「グローバル人材で大切なものの見方・考え方」とは、「自分と違う意見・異なる価値観に上手に対応し、さらに違いの中から新たな価値を創造する力」なのです。

 さて、どうしたらこの力を身につけられるでしょうか?調査の過程で様々なグローバル人材にインタビュー調査をいたしました。そこで得られたのは「人間の幅を広げる」ということでした。確かにそうです。

2.グローバル人材の定義

 経済産業省・文部科学省編「産学人材育成パートナーシップ グローバル人材育成委員会報告書」(2010年4月23日)から整理すると、グローバル人材の定義は次の通りです。

(1)「グローバル人材」の人材像

グローバル人材とは
 グローバル化が進展している世界の中で、主体的に物事を考え、多様なバックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に自分の考えを分かりやすく伝え、文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えて、相手の立場に立って互いを理解し、更にはそうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すことができる人材。

(2)「グローバル人材」の人材像を分割し解りやすく表現

グローバル化が進展している世界の中で、

  • 主体的に物事を考えることができる人材。
  • 多様なバックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に自分の考えを分かりやすく伝え、ることができる人材。
  • 文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えることができる人材。
  • 相手の立場に立って互いを理解することができる人材。
  • 更にはそうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出しすことができる人材。
  • 新しい価値を生み出すことができる人材。

(3)「グローバル人材」に共通して求められる能力等

①「社会人基礎力」は基盤として必要になる能力
  「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力で構成される 
  「柔軟性」「状況把握力」「創造力」・・異文化理解・活用力
  「発信力」「傾聴力」・・・外国語でのコミュニケーション能力
②外国語でのコミュニケーション能力
③「異文化理解力・活用力」
a)「異文化の差」が存在することを認識して行動する
b)「異文化の差」を「良い・悪い」と判断せずに、興味・理解を示し、柔軟に対応できること。
c)「異文化の差」をもった多様な人々の中で比較した場合の、自分を含めたそれぞれの強みを認識し、それらを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すこと。
④「基礎学力」:読み書き、算数、基本ITスキル
⑤「専門知識」:仕事に必要な知識や資格
⑥「人間性、基本的な生活習慣」:思いやり、公共心、倫理観、基本的なマナー

3.「グローバルリーダー」の人材像

 グローバル人材のうち、企業の責任ある立場で意思決定をして物事を実現していく人材をグローバルリーダーと呼びます。

・個別企業の利益を超えて、進出先企業と進出国の繁栄、さらには、国際社会の繁栄を考え、より良い社会の形成のために国際的な活動においてリーダーシップを発揮し、状況を分析し、判断し、決断し、実行できる人材。

・実際に、「個別の企業の利益を超えて、国や国際社会の繁栄を考える」ことを意識的に実践している経営者がいる企業ほど、海外売上高比率、売上高営業利益率が高いというデータがある。

4.多文化ダイバーシティ(異文化対応能力)とは何か?

(1)多文化ダイバーシティ(異文化対応能力)の定義

経済産業省・文部科学省編「産学人材育成パートナーシップ グローバル人材育成委員会報告書」(2010年4月23日)より抜粋。

③「異文化理解力・活用力」
a)「異文化の差」が存在することを認識して行動する
b)「異文化の差」を「良い・悪い」と判断せずに、興味・理解を示し、柔軟に対応できること。
c)「異文化の差」をもった多様な人々の中で比較した場合の、自分を含めたそれぞれの強みを認識し、それらを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すこと。

 また、グローバルな環境下では、多様な文化や歴史を背景とする価値観、考え方、特性、コミュニケーションの方法等の差異(以下「異文化の差」という。)が存在するということが、日本国内との大きな違いである。人材の多様性の程度が格段に高くなる。

 そうした環境下においては、ⅰ)「異文化の差」が存在するということを認識して行動することが必要である。まずは、文化的・歴史的な背景を知り、「異文化の差」が存在することを知っていることが必要である。

 さらに、知識として「異文化の差」の存在を知っているのみならず、それを実際に体感し、その存在を認識していることが必要である。また、多様な「異文化の差」の内容を網羅的に認識することは不可能であるが、様々な局面において「異文化の差」が存在するということを認識して行動することが必要である。

 その上で、ⅱ)「異文化の差」を「良い・悪い」と判断せず、興味・理解を示し、柔軟に対応できることが必要である。「異文化の差」に対する興味・理解には、「好奇心」という要素が大きく関係している。「異文化の差」がどこから生まれてくるのだろうかと好奇心を持つことが、その理解を深める。また、「異文化の差」を理解するためには、日本の文化・歴史を理解し、そして自分自身を理解することが必要である。

 さらに、相手の国の人々から、日本という国がどのように捉えられているのか、日本人がどのように捉えられているのか、客観的な視点で見直すことが必要になる。それができて初めて、相手の国の文化や歴史、それらを背景とする価値観や考え方を理解することができるのである。

ⅰ)ⅱ)のような要素は、一般的に「異文化理解力」と言われるが、「グローバル人材」には、更に一歩進んで、ⅲ)「異文化の差」をもった多様な人々の中で比較した場合の、自分を含めたそれぞれの強みを認識し、それらを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すことが求められる。

(2)多文化ダイバーシティ(異文化対応能力)は「和して同ぜず」

 上の、「グローバル人材」には、更に一歩進んで、ⅲ)「異文化の差」をもった多様な人々の中で比較した場合の、自分を含めたそれぞれの強みを認識し、それらを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すことが求められる。」の部分は、まさに「和して同ぜず」でイノベーション・新しい価値を創造するという、本ホームページの主張そのものです。

5.グローバル人材育成はアイデンティティの成熟がキーポイント

(1)「人間力」を超えてグローバル人材育成の鍵はどこに?

 「人間の幅を広げる」ことがグローバル人材育成であれば、全人的な成長こそがグローバル人材育成ではないかと思い至りました。ただし、これを「人間力」などと表現しては前近代に逆戻りしてしまう恐れもあります。

(2)多文化ダイバーシティ(異文化対応能力)=和して同ぜず→アイデンティティの成熟

 多文化ダイバーシティ(異文化対応能力)というのは、「和して同ぜず」でイノベーション、新しい価値を生み出す能力・マインドなのです。

 そして、「和して同ぜず」でイノベーション、新しい価値を生み出す能力・マインドは、アイデンティティの成熟によって高まります。

 結局、グローバル人材を育成するための最大のポイントは、「アイデンティティの成熟」という結論になります。
 これは、昔風に言えば「人間の幅を広げる」ということです。

 アイデンティティの成熟は、本ホームページでご紹介してきた「メリット&プライド」のバランス・調和をとり、①社会貢献マインド、次世代貢献マインドを満たそうと行動することで加速されます。
メリット&プライド戦略イメージ図31

トヨタAppleの成功は社会貢献・次世代貢献マインド

(3)「ポジティブな体験・感情」が社会性のある強い個へ導く

 お客様に喜ばれる声を聞くという、「ポジティブな体験・感情」が我々の腹に染み渡り、「社会性のある強い個」(アイデンティティの成熟)へ導きます。
お客さまの喜びの声、「ポジティブな体験・感情」が人材育成につながる

6. グローバル人材≒「和して同ぜず」の次世代リーダー

 つまり、ざっくり言うと『グローバル人材=「和して同ぜず」ができる次世代リーダー。(差は英語力だが本質的な差ではなくトレーニングで修得可能。)』という図式ができあがります。

 これがまさに業績向上と人材育成を両立する最新の「超・成果主義」Mark II(第二世代)なのです。