業績向上する組織活性化!コンピテンシーで精鋭化する方法
コンピテンシーを活用して組織活性化する場合には、業績向上につながるのが良い点です。組織活性化というとぼんやりしたイメージですが、コンピテンシーというツールを使うと、組織全体のパフォーマンスを底上げできます。(評価制度で尻を叩くのとは努力の質が違います。)
最新刊発売中!『ちょっとズレてる部下ほど戦力になる!』日本経済新聞出版社刊。若手社員の後輩・部下がいる方へ、忙しい貴方の為に①手軽に実践できるノウハウを集め②読みやすく工夫した③若手育成・職場活性化の本です。目次だけでも読んでみてください。→目次詳細(日本経済新聞出版社のサイトへリンクします)
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目次
1. 評価制度ではなく「組織全体のパフォーマンスを底上げする」マネジメント・システムとすべし
(1)コンピテンシーは知識の移転・共有化活動
知創型コンピテンシー・マネジメント・システムとは、コンピテンシーを個人査定重視の「評価制度」としてではなく、知識創造型の「人的生産性向上マネジメント・システム」として設計したものです。つまり、コンピテンシーを励行することで組織全体のパフォーマンスを底上げする活性化施策として展開するのです。まさに、「知識創造理論」の第2段階「2.知識の移転・共有化活動」の一環です。
■図3-22のように、コンピテンシーをマネジメント・システムとして活用する場合には、次のようなステップになります。
(2)コンピテンシーのP・D・C・Aサイクル
まず、知創型コンピテンシーの体系を設計することが、「Plan」段階に相当します。知創型コンピテンシーによって期待される行動・役割行動の体系が明示されます。
二つ目の「 Do 」段階ですが、これは知創型コンピテンシーを行動に移すということです。
そして、3つ目が「Check」の段階です。まず、知創型コンピテンシーの発揮状況の自己チェックが基本となります。自分自身で、自己の行動パターンの強み・弱みを把握します。さらに、上司や共に働くメンバーからもアドバイスをもらいます。これが360度評価(多面評価)の本来の意義です。自分自身では気付かない強み・弱みを第三者に観察してもらってアドバイスを受ければ「気付き」が得られ、強みはさらに伸し、弱みを改善し克服することにつながります。
この時単に「強み・弱みがありますよ」ではなく、「こうしたらもっと良くなるよ」「あなたの強みをさらに伸して、このレベルまで頑張ろう」などとフィードバック・アドバイスをすることが重要です。それが次の「Action」の段階へとつながるのです。
四つ目の「Action」の段階では、行動改善につなげることが重要です。知創型コンピテンシーの体系が整備されていれば、自分の強みを活かしながら弱みを改善克服するというバランスの取れた行動改善が可能になります。
2. 頑張った社員に報いる公正な処遇
また、この「Action」の段階では処遇への反映も行われます。知創型コンピテンシー・マネジメント・システムの場合には、成果“査定”主義と異なり処遇格差による経済的刺激で動機付けは図りませんが、やはり頑張った方に報いるのは公正な処遇として重要なことだからです。
ですから、知創型コンピテンシーの発揮度を処遇に反映するにしても、あまり強烈に格差を付け無い方が良いでしょう。
(1)コンピテンシーの発揮度は昇級・昇進に結び付ける
知創型コンピテンシーの発揮度は、特に昇級(高い等級に上がる)や昇進(高い役職に就く)に結び付ける形で、中期的に見て処遇が高まるようなソフトなスタイルで良かろうと思います。
何年か知創型コンピテンシーの発揮度が素晴らしければ、昇級・昇進という地位的処遇を得られるようになります。当然ながら、昇級・昇進すればそれに応じて経済的処遇も高まります。しかし、それは担当する仕事の重要性・貢献への期待度が高まるから経済的処遇が高まるのであり、経済的刺激で動機付けを図る成果“査定”主義とは主旨も意義も全く違います。
もちろん、知創型コンピテンシーの発揮度を把握することで「ある仕事や役職位への適正」を知ることもできますので、昇級・昇進に結び付けるのは理にかなっています。
一方、タイムリーに処遇としては、業績評価(目標管理)の評価結果を賞与に反映させるのは適切な施策です。賞与はもともと成果配分的な性格の強い処遇ですので、社員も経営者側も、こうした成果に応じて増減する仕組みを受け入れやすいはずです。但し、賃金処遇でも月給部分のアップダウンについてはその仕組みがあなたの会社に合っているかどうかを慎重に検討する必要があります。同じ金額の上下でも、賞与が増減するのと月給が増減するのでは意味が違います。
3. スパイラルアップさせる秘訣は社員の信頼関係
このマネジメント・システムで最も重要なことは、これを平面でのP・D・C・Aサイクルで終わらせずに、次のP・D・C・Aサイクルにはより高い位置からスタートし、螺旋状にスパイラルアップさせることです。
そのために重要なのは、社員同志の人間関係を良好に保ち、相互信頼の基盤を確立することです。社員同志が「こうしたらもっと良くなりますよ」と親身になってアドバイスし合う関係が築ければ、社員同志の知的チームワークの相乗作用で良い成果をあげるための行動改善が加速します。一度良い方向にマネジメント・システムが回り出せば、どのような人間関係が自分自身を高め組織のパワーを高め会社の発展につながるか自然に「学習」します。実際の経験によって学ぶのです。これこそがスパイラルアップの秘訣です。
4. 知創型コンピテンシー・マネジメント・システムのフロー
■表3-23が知創型コンピテンシー・マネジメント・システムのフロー図です。技術的なことはフロー図をご覧いただくとして、重要な部分をご説明いたします。
(1)コンピテンシーを作り出すステップ
まず、コンピテンシーを作り出すステップは、実は「暗黙知・個人知を発掘し形式知化する」ステップに他なりません。ここで、社員の皆さんとコンサルタントが議論しながら新しい知恵を生み出すのです。勿論、コンサルタントがいなくても皆さんだけでも可能です。ただし、コンサルタントがいれば外部の目でアドバイスをもらったり、いろいろな企業での経験からベストプラクティスのヒントをもらうなど効率的に進めることが出来ます。
「我社で、この職種で高業績につながる行動とはどの様な行動か?」を真剣に議論すればするほど、沢山の知識が集まってくると思います。ただし、沢山の知識の中には、重要なのだけれども、常識的なこと・誰もが行動に移していることも含まれています。それが、ナレッジ(経営活動に役立つ知識)です。「高業績につながる行動かどうか」という基準で見れば、まだ玉石混交の状態です。
(2)ナレッジを要約し知創型コンピテンシーが生まれるステップ
そして、沢山集まってきたナレッジを要約すると知創型コンピテンシーが生まれてきます。このステップですと、自然に「高業績につながる行動かどうか」というフィルターで漉されてきますので、大分コンピテンシーとしての粒がそろってきます。それでもまだ沢山あるはずです。(このレベルのコンピテンシーを巻末に事例として掲載しました。)
実際に、マネジメント・システムに活用する場合には、この知創型コンピテンシー群のかなから、適切な数だけ抜き出します。
(3)運用の際に大切なポイント
これで、マネジメント・システムが動き出せます。マネジメント・システムの運用の際に大切なポイントは、知創型コンピテンシーの検証をすることです。検証は、知創型コンピテンシーの発揮度は高いけれども、成果は高くない場合に重要になります。もちろん、知創型コンピテンシーと高業績は高い確立で結びついていますが、中間に介在する影響要因もあります。
したがって、知創型コンピテンシーの発揮度が良くても、必ずしも高い成果につながらない場合もあります。そこで、知創型コンピテンシーの発揮度が高く、成果が低い場合、その原因はなぜなのかを探ることが検証なのです。
言い換えれば、知創型コンピテンシーの有効性を実地検証するということです。知創型コンピテンシーの有効性が薄れてきた、環境に合わなくなってきたということが解ったならば、直ぐに知創型コンピテンシー改善のステップに入らなければなりません。
一方、知創型コンピテンシーの有効性は依然保たれていて、別の影響要因で成果があがらないのだったら、その影響要因に対する対策を考えればよいのです。
■図3-23知創型コンピテンシー・マネジメント・システムのフロー図
5.リーダー・管理者に役立つ参考書籍
『ちょっとズレてる部下ほど戦力になる!』日本経済新聞出版社刊、加藤昌男著。最新刊!(このホームページ上にも紹介記事ページがございます)
若手社員を戦力化し、職場を活性化する最新のノウハウを解りやすく説明しています。若手社員を戦力化しやる気にさせる方法、内発的動機付け、仕事の楽しさを味わう方法、組織活性化の方法、コミュニケーションを取る方法などこのページでは紹介しきれない沢山のケースや実践例で説明しています。さらに、具体的方法、具体的プログラムなどお役にたつツール(ソリューション)をまとめました。きっと皆様のお役にたつことと思います。わかりやすく平易な文章で丁寧に書いていますので、「とても読みやすい」「読んでいて面白い」と喜ばれています。
若手社員は本当は戦力になります!若手が何を考えているか解らないと悩むリーダー・管理者の皆様の為に書きおろしました。
『労政時報』の労務行政研究所様が、拙著のレビューを書いてくださりました(人事・労務の専門情報誌『労政時報』の労務行政研究所が運営するjin-jour(ジンジュール)様からのレビューです)。誠に有り難うございます。