「メリット&プライド」のストーリーの下で、支援マネジメントを実践することで、企業の革新能力や問題発見・問題解決能力を高める企業文化を築きます。優れた企業文化の例を「メリット&プライド」の図と対比すると興味深い共通点が見つかります。

1.良い仕事をして優れた成果を出しお客様に喜ばれる上昇循環づくり

(1)協力し合って良い成果を出すために会社が組織化される

 「自己責任」良い言葉ですが、いつのまにか「組織が社員を導けないから、自己責任で成果を上げてくれ!自己責任で能力を高めてくれ!」という言い訳に成り下がっています。

 「目標管理は、Management by Objectives & Self controlだから、自己責任で目標を達成したまえ」いつのまにか、自律性を尊ぶ管理技法もノルマ付与の方便に堕ちています。

 一人ではできないことを成し遂げるために、会社は組織化されます。一人の知識では成し遂げられない成果をあげる為に、チームメンバーが協力しあい、チームの知恵を共有化して効率を高めます。チームメンバーが目標を共有し、ベクトルを合わせ、真摯に対話することで、一人では創造できない優れたイノベーションが達成できるのです。

 かつての優れた日本企業はそうした方法でイノベーションや中長期的業績の向上を達成してきました。
(例えば、本ホームページのスバル1000の事例参照。)

(2)良いものを作り社会が発展し自分自身も成長する上昇循環サイクル

 良いものを作り社会が発展し自分自身も成長する上昇循環サイクルは、次のようなステップでスパイラル・アップしていきます。

①経営理念、社会貢献という概念の世界
②良い仕事をして、お客様に喜ばれるという具体的な出来事
③有難い「お客様に喜ばれる」ことが自分の心に響く実体験
④お客様に喜ばれる良い仕事ができるまでに成長したという実感
⑤他者に必要とされている自分自身の存在の尊さを感じとる実体験
⑥経営理念、社会貢献という概念が体験を通して理解でき血肉となる
⑦嬉しい体験・有難い体験・自らを高められる体験が得られる努力(良い仕事)をまたやってみようという自然な気持が湧き上がってくる
⑧前向きな気持がさらに良い仕事の実践につながり、お客様にもっと喜ばれ、自分の心もますます嬉しく豊かになる
良い仕事、社会発展、自分自身も成長する上昇循環サイクル

2.コントロール型管理・トップダウン型指導から「支援マネジメント」へ

(1)管理職は部下をコントロールではなく支援すべき

 「管理」という言葉は、非常に誤解されやすいのです。ファイヨールが「産業および一般の管理」において、マネジメントを発明した際に使われたのがアドミニストレーション(ADMINISTRATION)という単語です。これは、管理と訳すよりは、経営と訳したほうが良かったでしょう。

 管理は、administration; management; controlなどの多義の概念を表しています。進捗管理は、したがって進捗administration; managementと考えるべきであり、進捗controlではありません。しかし、上述の通り「自己責任」という流行り言葉で管理職としての自己責任を上手に放棄した場合、単なるノルマcontrolになってしまいます。

 本来、管理職は部下をコントロール(ノルマ管理)するではなく支援(目標達成支援)すべきなのです。

A.指導育成から成長支援へ

 お説教にならないように、指導育成から成長支援へシフト。

B.目標管理から問題解決支援へ

 目標達成過程、すなわち問題解決を支援する。

(2)実践→体験→体験共有→さらなる成長への「経験的学習サイクルを支援」

 「働く仲間が協力し合って良い仕事をして優れた成果をあげ、『お客様に喜ばれ』て、社員も成長し会社も成長する」という企業経営の原点を実践することで、社員は自らの体験や働く仲間、お客様の声を通して成長していきます。

 単に、考え方を知識として学ぶのではなく、優れた仕事体験を通して、前向きな価値観を自ら心に刻みこむのです。

3.「メリット&プライド」と支援マネジメントの実践により企業文化を変革する

 共有価値観(バリューや既存の経営理念など)、コンピテンシーを議論・対話の知的ツールとして活用するのは、組織に共有価値観・コンピテンシーによってしめされる「期待される行動群」というある種の価値規範、考え方の枠組みである「企業文化」を提示し、そのコンピテンシーを実践することで、新たな企業文化が生れていきます。

従来のように、単にコンピテンシーを作成しただけではなく、(評価制度に使うだけではなく)、毎日の仕事で対話していくことで、組織成員の心に染み込んで行くのです。

(1)企業の革新能力や問題発見・問題解決能力を高める企業文化

 優れた企業文化の例を以下に紹介します。「メリット&プライド」の図と対比すると興味深い共通点が見つかります。

A.革新能力の高い企業の人と組織の特徴
革新能力の高い企業の人と組織の特徴

B.問題発見能力と解決能力の高い企業文化と低い企業文化の対比問題発見能力と解決能力の高い企業文化と低い企業文化の対比

注:原典では「進捗状況の把握:定期的監視」なれど加藤が改良。
資料出所:『企業戦略と企業文化』吉森賢著、放送大学教育振興会、2008年。
メリット&プライド戦略イメージ図31

(2)ポイントは「メリット&プライド」と支援マネジメント

 上の優れた企業文化の例を見ると、1番のポイントは「継続的指導・支援・改善」すなわち支援マネジメントであることが解ります。

 そして、「メリット&プライド」のストーリーの下で、支援マネジメントを実践することで、企業の革新能力や問題発見・問題解決能力を高める企業文化を築きます。