シンプルで使いやすく効果的な人事評価制度(人事考課制度)が無いものだろうか?沢山の方が悩んでいます。しかし、ちょっと視点を変えれば、もっと良い人事考課制度が作れます。視点を査定から協働に変えましょう。そう考えたら活性化型の人事考課制度が生まれました。上から目線を止めて「一緒に頑張ろう、そのためにはどうすべきか?一緒に考えよう」という協働の視点が大切です。それを形にした事例をご紹介します。

 昔は「人事評価(考課)はこうじゃなきゃダメ」という意識が強かったのです。いくら工夫を凝らしても、逆に拒否反応が出てしまいました。しかし、最近は「もっとシンプルにもっと使いやすく」というご要望も増えてきました。そうお考えの企業様全てのお役に立ちます。

1.活性化のための人事考課を創ろう

 バブル崩壊以降の厳しい経済環境下では、好景気の頃のように「ちょっとサボっても解らないだろう」と考える社員はいません。しかし、旧来の人事考課には上から目線で査定するマインドが充満しています。そのせいで、かえってやる気のある社員を萎えさせてしまいます。

 そこで、ある中小企業で組織活性化に取り組んだケースでは、「働きがい」をどうやったら社員に提供できるか工夫しました。

2.人事考課制度から働きがいが生まれるのか?

(1)「人事考課は理屈っぽくて解りずらい」

 人事考課制度の設計などは、管理職を中心に中堅社員をメンバーに入れて協働作業を行なうのが常です。参加するメンバーは皆大人ですから空気を読んでしまって、なかなか本音はでてきません。

 しかし、活性化型の人事考課制度などを目指して活動すると、若い社員から本音や鋭い意見が出ることがあります。

 「言葉の意味が理屈っぽくて解りずらい」「頑張ったら報われるというが、一方で昇給が押さえられていて報われる実感が無い。」などなど…

(2)「上から目線で査定しないでください」

 その言葉を語る姿を見ていると「こんな上から目線の人事考課制度を、似たような上から目線タイプのままで改善してもやる気なんかでない(働きがいは得られない)」という意思が伝わってくるのです。

 そこに流れる空気は、「小難しい言葉で書いてあって、正直何言ってるか解りません。私達も一生懸命やっているのに、何を上から目線で査定しようとするのか、不愉快です。」というものでした。

3.私たちは「お客様を大切にしている」

(1)私たちは人事考課のことを考えて仕事をしているんじゃない

 つまり、旧来の組織目線の(上から目線の)人事考課制度で問いかける内容に対して、「私達はいつもそんなことを考えて仕事をしているんじゃない」と言っているのです。「隙があればサボってやろう」等ではなく、自分たちの仕事や職場を大切に思っているのです。それなのに、まるで性悪説のような上から目線の人事考課ではやる気が萎えてしまうのです。

(2)経営理念と人事考課がズレている

 また、経営理念を社員皆で共有しているのですが、その経営理念とも旧来の上から目線の人事考課制度は方向性が違っていました。

(3)私達はお客様の方を向いて仕事をしている

 いろいろ若い社員の皆さんと話し合って、一番大切だと思ったのは「私達はお客様の方を向いて仕事をしている」という社員の皆さんの思いです。その「お客様を大切にしている」という意識を働きがいを得る中心に据えました。

4.「働きがい」を得る活性化型の人事考課制度の事例

 そこで、「私達はお客様の方を向いて仕事をしている」という思いに沿った活性化型の人事考課制度を設計しました。

(1)加点できる工夫

 チェックリストのようなスタイルだけではなく、若い社員の意見や改善行動を加点してあげられるような工夫もしました。全員一律の考課項目以外に、加点ポイントを考課される社員(部下)の側から提案できる空欄を設けたのです。(もちろん、考課点に反映する場合には、部下と上司でそうだんします。)

 これは、上から目線の一方通行な人事考課ではなく、双方向性を取り入れ社員の自律性を尊重したものです。

(2)経営理念を浸透させる工夫

 経営理念も「経営理念は大切なコトだから共有しましょう」というような理屈っぽい内容ではなく、①行動したこと、②自分で感じたこと、自分で考えたこと、という具体的な内容に工夫しました。

 上から目線ではないので従来の人事考課制度と全く違います。新しいものは「こんな方向性で頑張ろうね」と自然に思えると大変好評でした。

(3)「活性化型」人事考課フォーマット事例

 若い社員向けには次のような考課項目です。

■一般社員向け「活性化型」人事考課フォーマット事例
一般社員向け「活性化型」人事考課フォーマットの事例

5.旧来の人事考課は万能ではない

(1)旧来の人事考課はアメとムチの刺激策

 旧来の人事考課はアメとムチのインセンティブ中心の制度です。どうしてもそこに限界があります。「働きがい」を提供する制度ではないのです。

 賃金、昇進その他の社内の処遇を人事考課の結果次第で上下させ公平に報いるという方法は、間違ってはいません。「良い成果を出せて賞与が増えた、やる気が出るぜ!」

 しかし、賃金や昇進などはやる気につながるのですが、効果が持続しないと言われています。不満解消には役立つけれども、長持ちするやる気がでない「衛生要因」と言われています。

 その理由は、賃金、昇進はアメとムチのインセンティブ(刺激策)だからです。働きがいが心の内側から湧き上がってくるパワーなのに対して、賃金や昇進は外側から刺激する「外的動機付け」といわれる手法なのです。

(2)旧来の人事考課は本質的な「働きがい」つながらない

 したがって、旧来の人事考課は、本質的な「働きがい」(内発的動機付け)にはほんとんどつながりません。(衛生要因などにはつながりますが効果が持続しないのは前述の通りです。)