コンピテンシーを効果的に活用する方法を、ほとんどの皆様は知りません。実に「モッタイナイ」ですね。コンピテンシーを使いこなせないのは、知恵を使いこなせないのと同じです。(コンピテンシーは組織の知恵ですので…)評価制度にしか使っていないとしたら、実に「残念」です。どうやったらコンピテンシーを役立てることが出来るか?をご紹介します。

 コンピテンシーとは「高業績につながる行動パターン」です。すなわち、高い業績を上げている人の行動を分析すると、共通的に見られる行動パターンが抽出される。これがコンピテンシーです。
資料出所: 太田隆次『アメリカを救った人事革命コンピテンシー』経営書院、1999年。

コンピテンシー高業績につながる行動パターン
 この定義は広く知られていますが、「どう役立てればよいか?」について情報が不足しています。本項では、それらをご紹介します。(コンピテンシー入門編は「コンピテンシーによるプロセス考課」のページをご参照ください。)

1. コンピテンシー活用戦略の全体像

コンピテンシー活用戦略の全体像イメージ図

2. 組織力の底あげ・パワーアップが基本

 コンピテンシー活用の基本は、組織力の底あげ・パワーアップのための活用です。まず、コンピテンシーを分析・作成することによって、高業績を達成するための一番良い方法・ノウハウ(ベストプラクティス)を分析抽出します。その一番良い方法・ノウハウを組織メンバーが学び、励行することで組織力が底あげされ、その結果組織の成果が高まるのです。この様なサイクルを回し続けることで、高業績を安定的・継続的に達成するわけです。

■コンピテンシー活用の基本

コンピテンシー活用の基本イメージ図

3. 行動のベンチマーキング

 基本的な活用だけでなく、様々な使われ方があります。下図などは、行動のベンチマーキングと言える活用方法です。高業績を達成できる行動パターンが明らかになったのならば、その行動パターンを皆で真似しよう。行動のベンチマーキングをしようということです。「こうすればよい結果が得られるのだから、皆で真似しちゃおう!」という、いかにも実利主義的なコンピテンシー活用方法です。

■アメリカ型TQMセオリーの下での行動のベンチマーキング

アメリカ型TQMの行動のベンチマーキングトヨタのカイゼンマネジメント

4. 人的資源構造の変革(精鋭の割合を増やす)

 人的資源構造の変革というと難しく聞こえますが、要は精鋭社員(高業績者)の数を増やすということです。そうすれば、人的資源全体で見たときに、精鋭の割合が増え、その構造が優れたものに変革されるということです。

■人的資源構造の変革:精鋭(高業績者)の割合を増やす

高業績者の割合を増し人的資源構造を変革

 コンピテンシーがなければ、高業績というのは一握りの精鋭社員(高業績者)だけが達成できるものでした。それを、精鋭社員だけでなく、他の社員が実行できるようにノウハウを洗練させます。個人的なレベルのノウハウであったものを、沢山の社員に活用してもらえるようにするのです。
 もうひとつは、管理職のコンピテンシーを分析抽出し、それを管理職登用のためのアセスメント審査に使うのです。また、管理職育成のためのチェックリストにも使えます。そうすれば、管理職適性の高い社員を管理職ポストに配置できますので、組織の要がしっかり機能します。その結果、組織全体のパフォーマンスが高まります。組織の要である管理職層のクオリティが高まれば、それは人的資源の構造が優れたものに変革されたのと同義語です。

■人的資源構造を優れたものに変革する

人的資源構造を優れたものに変革するイメージ図

5. 優れた評価制度(考課制度)による組織活性化

 頑張った者・成果をあげた人が報われる、そんな優れた評価制度が実現できれば確かに動機付けや組織活性化に役立ちます。
 納得性の高い、優れた評価制度にするために、コンピテンシーは次の様に使われます。

(a)行動の事実を評価し客観性を高める
(b)結果だけでなくプロセスを評価し公平性を高める
(c)高業績達成のヒントを示して目標管理を補完

■良い評価制度は組織を活性化する

良い評価制度は組織を活性化するイメージ図

6. マネジメントの革新

 コンピテンシーの良い所は、設計手法を工夫しコンピテンシーの内容・特性を上手に創り込むことで、マネジメント革新のツールとして活用できます。
 それぞれの個別企業のおかれた状況や目指すべき方向により、経営における人的側面の重要課題やニーズは異なります。それぞれ異なる課題・ニーズに合せて、下図のように最適なコンピテンシー・システムを設計することが可能なのです。

■マネジメントを革新するツール

マネジメントを革新するツールのイメージ図